日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
症例
Helicobacter pylori未感染胃に発生した腸型優位混合型高分化型管状腺癌の1例
里井 新 大原関 利章鳥羽 崇仁堀江 義政馬場 隆成村上 貴寛日原 大輔吉田 有輝富永 健司前谷 容
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 64 巻 1 号 p. 43-49

詳細
抄録

症例は70歳,女性.近医で行ったEGDで前庭部大彎に10mm大の陥凹を伴った表面隆起性病変を認め,精査目的に当院紹介となった.Helicobacter pylori(以下H. pylori)の除菌歴はなく,H. pylori-IgG抗体は3U/ml未満であった.EGDで背景粘膜に萎縮はなく,H. pylori未感染と診断した.生検では管状腺腫,Group3の診断であったが,内視鏡所見では胃癌が疑われたため内視鏡的粘膜下層剝離術を施行した.病理組織学的には高分化型管状腺癌であり,免疫組織化学染色ではCD10,CDX2は陽性,MUC2,MUC5AC,MUC6は一部陽性であり,腸型優位の粘液形質を有していた.H. pylori未感染で背景に萎縮や腸上皮化生を伴わない粘膜から生じた腸型優位の高分化型管状腺癌はまれであり,報告する.

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top