日本消化器内視鏡学会雑誌
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資料
術後再建腸管を有する胆膵疾患に対するバルーン式内視鏡を用いた内視鏡的逆行性胆管膵管造影の最近の進歩:治療戦略と困難症例の対処方法
島谷 昌明 光山 俊行徳原 満雄桝田 昌隆宮本 早知伊藤 嵩中丸 洸池浦 司高岡 亮長沼 誠岡崎 和一
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2022 年 64 巻 6 号 p. 1273-1286

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抄録

ERCPは,胆膵疾患のために確立された内視鏡の診断・治療モダリティである.しかしながら,術後再建腸管(Surgical altered anatomy;SAA)を有する患者に対するERCPは技術的に困難であったため,より侵襲的な治療法が主に選択されてきた.バルーン式内視鏡(Balloon assisted Endoscope;BAE)が開発されたことにより,このような患者に対するERCPが現実的となった.また昨今のBAEの進歩により,BAEを用いたERCP(BAE-ERCP)の成功率は大幅に向上してきた.さらに,超音波内視鏡を用いた処置(EUS-intervention)が,SAAを有する患者の胆膵疾患に対して有用であるとの報告もなされるようになり,内視鏡治療の選択肢が広がりBAE-ERCP困難症例に対するRescue Therapy(RT)としても期待されている.SAAを有する患者の胆膵疾患に対する内視鏡治療を完遂するため,BAEの特徴に基づいたBAE-ERCPの手技の標準化とBAE-ERCP困難症例の分析やRT対象症例の選択などを含めた治療戦略を確立させることが重要である.さらに,内視鏡治療を安全に行うためには,起こりうる有害事象の特徴を事前に理解し,対処できるように準備しておくことが重要である.

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© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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