日本消化器内視鏡学会雑誌
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出血源同定の有無を考慮した結腸憩室出血の早期および晩期再発を減らすための治療戦略:大規模多施設共同研究
杉本 光繁
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2022 年 64 巻 6 号 p. 1294

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抄録

【目的】消化管出血直後の出血源同定の有無を考慮した大腸憩室出血に対する治療戦略は標準化されておらず,内視鏡治療方法や治療戦略の有効性を評価した大規模な研究はない.今回,消化管出血直後の出血源同定と内視鏡治療戦略の組み合わせの中から大腸憩室出血症例に対する最良の治療方法を選定することを目的に本検討が行われた.

【方法】本邦の49病院を対象に大腸内視鏡検査を受けた5,823人の大腸憩室出血症例を後方視的に検討した(CODE-BLUE-J研究).本検討では対象者を(1)出血源が同定可能で内視鏡治療を施行した群,(2)出血源が同定可能で保存的加療を施行した群,(3)出血源を同定することができずに保存的加療をした群の3群に群分けをした.群間差の背景的特徴を調整するために傾向スコアマッチング分析にて検討した.

【結果】出血源未同定の保存的治療群と比較して,出血源同定可能な内視鏡治療群では,治療後早期および晩期ともに大腸憩室出血の再発率は有意に低率であった(30日未満:19.6% vs. 26.0%,p<0.001,1年以内:33.7% vs. 41.6%,p<0.001).出血源同定群内での検討では,内視鏡観察後早期における大腸憩室出血の再発率は,内視鏡治療群の方が保存的治療群と比較して再発率は有意に低率であった(17.4% vs. 26.7%,p=0.038).内視鏡観察後晩期における大腸憩室出血の再発率は,内視鏡治療群の方が低率であったが,両群間で有意差は認めなかった(32.0% vs. 36.1%,p=0.426).出血源同定可能な内視鏡治療群では,活動性出血を伴う出血源の同定が可能な症例,非活動性の出血を伴う出血源が同定可能な症例,右側大腸からの出血例において内視鏡治療を行わない保存的治療群と比較して,内視鏡観察後早期および晩期ともに大腸憩室出血の再発率は低率であった.

【結語】出血源が同定可能な大腸憩室出血例への内視鏡的治療は,出血源同定の有無にかかわらず保存的治療を選択した症例と比較して早期および晩期の憩室出血再発率を有意に減らすことが明らかである.そのため内視鏡医は大腸憩室出血例に対して出血源を速やかに同定し,適切な内視鏡治療介入を行うことが憩室出血再発の予防には重要と考えられる.

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© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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