2022 年 64 巻 7 号 p. 1346-1351
症例は51歳女性.検診の全大腸内視鏡検査で,盲腸に20mm大の白色平坦隆起性病変を認め,拡大内視鏡観察で粘膜内の微小気泡を指摘した.気泡によりNarrow band imaging観察で構造と血管が不明瞭化したが,Crystal violet染色でⅠ型pitが観察された.生検標本で粘膜固有層に空胞が散見され大腸偽脂肪腫と診断した.無治療で経過観察したところ,4カ月後の内視鏡検査で病変は消失していた.通常・拡大内視鏡で得られた像は粘膜固有層内の気泡で光の反射と多重散乱が発生したことによるものと考えられ,病態を反映していると思われた.拡大内視鏡観察は大腸偽脂肪腫の診断の一助となる可能性がある.