2022 年 64 巻 9 号 p. 1564-1571
クエン酸マグネシウム(Mg)製剤による大腸内視鏡前処置後に著明な高Mg血症を生じた2例を経験した.両症例とも前処置前には腎障害を認めず,大腸癌による腸管切除歴を有していた.発症時,症例1は直腸吻合部付近の便塊貯留による糞便性腸閉塞を,症例2はS状結腸に吻合部狭窄による通過障害を認めていた.それぞれ全身管理のもとで用手摘便とバルーン拡張にて閉塞を解除することで病状の改善が得られた.潜在的に腸管通過障害を有する被験者では,腎機能に関わらずMg製剤を用いた前処置による高Mg血症の出現に十分注意する必要があると考えられた.