食道疾患に対するEUSは,治療方針決定の一助となるためその有用性は高い.診断には技術的要素が大きく関係するため,その精度を高めるためには統一した手技で安定的な検査を行う必要がある.ソフトバルーンを用いてのEUSとジェル充満下のEUSの手技はそれぞれ一長一短があるが,その特徴を理解したうえで実践することで治療方針の決定の一助となる.適応となる病変は食道粘膜下腫瘍と表在型食道癌であり,特に後者においては,T1bが疑われ相対的適応としての内視鏡治療を検討している場合,確実に深部断端陰性で切除が可能かどうかの判断には非常に有用である.ソフトバルーンでは圧排や腫瘍直下でのリンパ濾胞に伴う深読みのリスクがあり,微小浸潤を認識できないことによる浅読みの可能性がある.ジェル充満では安定してできる部位で確実に行うことが重要である.