日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
胃内視鏡検診の基本的な考え方と対策型ならびに職域がん検診としての精度管理の課題について
加藤 勝章
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2023 年 65 巻 1 号 p. 5-18

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抄録

胃内視鏡検診は2016年度から新たに対策型胃がん検診としての実施が承認された.しかしながら,対策型胃内視鏡検診の場合,検診と同時に実施する鉗子生検が精密検査として扱われ,記録画像のダブルチェックが必須となっている点などで,検診に参加する臨床医の戸惑いも大きく,他の検診に比べて検診のアルゴリズムが複雑な点が精度管理上の大きな問題となっている.現役世代のがん検診として中心的役割を果たす職域がん検診については,検診プログラムの標準化や検査精度の均霑化,精度管理基盤の整備などが進んでいないのが現状である.胃内視鏡検診についても,今後は統一したデータ管理ができるように精度管理基盤を整備し,地域と職域を合わせた組織型の胃がん検診の実現を目指していくべきと考える.診療と検診の違いを横断的に理解したスクリーニング認定医が胃内視鏡検診全般の精度向上や精度管理に中心的役割を果たすことが期待される.

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© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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