日本消化器内視鏡学会雑誌
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症例
亜全胃温存膵頭十二指腸切除術後に胆管内魚骨迷入により巨大肝膿瘍を生じた1例
津山 高典 末永 成之浜本 佳織矢田 祥子天野 彰吾篠田 崇平高見 太郎
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2023 年 65 巻 11 号 p. 2290-2296

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抄録

症例は81歳男性.十二指腸乳頭部癌に対して亜全胃温存膵頭十二指腸切除術の既往がある.発熱と心窩部痛を主訴に当院を受診し,血液検査,画像検査で肝膿瘍と診断された.CTで膿瘍近傍の胆管内に魚骨を示唆する線状の高吸収を認めた.抗菌薬投与および経皮経肝膿瘍ドレナージを行い,肝膿瘍が改善した後にバルーン内視鏡を用いて魚骨を除去した.合併症は認めず,治療後約1年が経過するが肝膿瘍の再発なく,経過は良好である.膵頭十二指腸切除術後の胆管内への異物の迷入は稀である.有症状例に対しては感染制御や再発防止のため異物除去が望ましい.バルーン内視鏡を用いた異物除去は低侵襲かつ手技成功率も高く,有用な治療法と考えられる.

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© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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