日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
最新文献紹介
Serrated polyposis syndromeの遺伝学的検査による生殖細胞系遺伝子変異
千野 昌子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2023 年 65 巻 4 号 p. 411

詳細
抄録

【背景】Serrated polyposis syndrome(SPS)において,これまで生殖細胞変異の解析における一貫した見解は示されていない.2019年British Society of Gastroenterology(BSG)ガイドラインでは,他のポリポーシス症候群の除外のため,50歳未満または,複数の家系内罹患者,Dysplasiaを伴うポリープを有する場合において,遺伝子パネル検査を行うように勧告している.

【方法】Oxford University Hospitals NHS Foundation TrustにSPS患者のデータベースが作成され,患者の既往歴や家族歴,希望に基づいて遺伝学的評価のために紹介された.大多数の患者は,MUTYH,APC,PTEN,SMAD4,BMPR1A,STK11,NTLH1,POLD1,POLE,GREM1(40-kb duplication),PMS2とミスマッチ修復遺伝子を含む遺伝性大腸癌パネルについて調べられた.

【結果】2010年2月から2020年12月の間に173名の患者がWorld Health Organization 2019の基準に基づいてSPSと診断された.診断時の平均年齢は54.2±16.8歳であった.73名の患者が遺伝子検査を受け,15/73名(20.5%)が生殖細胞変異を有し,そのうち7/73名(9.6%)が病原性変異(MUTYH;2,SMAD4;1,CHEK2;2,POLD1;1,RNF43;1)を有することが明らかにされた.これらの患者のうち60%(9/15)のみがBSGガイドラインに従った遺伝子パネル検査を推奨された患者であった.

【結論】検査をうけたSPS患者の20.5%が,未だ報告されていないCHEK2とPOLD1を含むヘテロ接合型の遺伝子変異の影響を受けており,7例(9.6%)でマネージメントの変更に至った.現時点で考えられるのは,予想以上に一般的な遺伝子変異を有するSPSが見逃されている可能性があることである.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top