日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
原発性硬化性胆管炎に対する内視鏡的診断・治療
水野 卓 伊佐山 浩通持田 智
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2023 年 65 巻 5 号 p. 478-485

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要旨

原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は,肝内外の胆管にびまん性・多発性に線維性狭窄をきたし,胆汁うっ滞から肝硬変に至る原因不明の疾患である.肝移植以外に根本的な治療方法がなく,また胆管癌の高危険群でもあり,本邦では指定難病の1つとされている.PSCの診断はその特徴的な胆管像に基づいてなされるが,細菌性胆管炎のリスクを考慮し,まずは低侵襲な核磁気共鳴胆管膵管撮影(magnetic resonance cholangiopancreatography:MRCP)やEUSを行う.しかしながら,dominant strictureを有し胆管癌との鑑別が必要となる症例や,罹患早期で軽微な肝内胆管の変化しかない症例では,ERCPは重要な役割を果たしている.またPSCの治療では,dominant strictureを対象とし,狭窄部のバルーン拡張を第一選択とする.長期ステント留置は閉塞による細菌性胆管炎の合併が問題となるため,適応を慎重に検討する必要がある.PSCの診療において胆膵内視鏡は重要な役割を担っているが,そのリスクおよび限界を十分に認識しておくことが肝要である.

Abstract

Primary sclerosing cholangitis (PSC) is a chronic cholestatic disease with unknown etiology which is characterized by diffuse and multiple fibrosing strictures in the intra- and extra-hepatic bile duct. Liver transplantation is the only curative treatment, and PSC is a known risk factor for cholangiocarcinoma. The Ministry of Health, Labour and Welfare in Japan considers PSC to be an intractable disease. PSC diagnosis is based on characteristic cholangiographic findings. MRCP and EUS are currently preferred to ERCP, as ERCP holds risks of bacterial cholangitis. However, ERCP still plays an important role in cases with dominant strictures to differentiate cholangiocarcinoma and in cases with minimal changes in the intra-hepatic bile duct during early disease stages. Endoscopic treatment is indicated in cases with dominant strictures, with balloon dilation being the first choice of treatment. Long-term stenting should be performed in selected patients because of the high incidence of bacterial cholangitis due to stent occlusion. Pancreato-biliary endoscopy plays a significant role in the diagnosis and treatment of PSC, though endoscopists should understand the risks and the limitations of the procedure.

Ⅰ はじめに

原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis:PSC)は,肝内外の胆管に線維性の狭窄をきたし,胆汁うっ滞を引き起こす疾患である.胆管狭窄はびまん性・多発性に生じる.潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の合併が多いことから自己免疫的機序の関与が推測されているものの,病態はいまだ明らかとなっておらず,本邦では厚生労働省により指定難病の1つとされている.

PSCの診断は除外診断であり,同様の胆管硬化像を呈する胆管癌やIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-related sclerosing cholangitis:IgG4-SC),原因の明らかな二次性硬化性胆管炎を除外することによって診断される.この診断過程において,超音波内視鏡検査(EUS)や内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)といった胆膵内視鏡検査は重要な役割を担っている.

また,PSCに対して根本的な治療方法は肝移植のみであるが,移植を受けられる機会は限られている.したがって,姑息的治療とはいえ,黄疸・肝障害に対する内視鏡的治療の果たす意義は大きいといえる.

このように胆膵内視鏡検査・治療はPSCの診断・治療において重要であり,本稿では実際の手技に際して注意すべき点などをまじえて解説する.

Ⅱ PSCの診断

Ⅱ.1 特徴的な胆管像に基づく診断

PSCの診断においては,他疾患のようなバイオマーカーとなる血液検査もなければ,病理診断によって確定診断を得ることもできない.Onion-skin lesionとしてよく知られている肝組織における胆管周囲の同心円状の線維化は,PSCに特徴的ではあるものの,他疾患でも見られうる所見であり特異的とはいえない.

PSCの診断において最も重視されるのは,その特徴的な胆管像である.本邦の診断基準(Table 1 1では診断の大項目の1つとされている. PSCに特徴的な胆管像としては,以下のようなものが知られている.

Table 1 

PSCの診断基準.

・帯状狭窄(band-like stricture):長さ1~2mmの短い狭窄(Figure 1-a).

Figure 1 

PSCに特徴的な胆管像.

a:帯状狭窄.PSC症例のMRCP画像.肝内胆管に長さ1~2mmの短い狭窄が多発している(矢頭).

b:憩室様突出.PSC患者のERCP画像.総胆管に憩室のように突出している所見を認める(矢印).

・数珠状所見(beaded appearance):狭窄と拡張を交互に繰り返す所見.

・剪定状所見(pruned-tree appearance):剪定されたように肝内胆管分枝が描出されない所見.

・憩室様突出(diverticulum-like outpouching):胆管壁が憩室様に突出する所見(Figure 1-b).

一方で,PSCとの鑑別が問題となるIgG4-SCでは,比較的長い狭窄(segmental stricture,長さ>3mm)とその上流の単純拡張,下部胆管や肝門部の狭窄が特徴的とされている.Nakazawaらは,これらの特徴的な胆管像によってPSCとIgG4-SCが鑑別可能であったことを報告している 2

Ⅱ.2 核磁気共鳴胆管膵管撮影(magnetic resonance cholangiopancreatography:MRCP)とEUSによる低侵襲な診断

胆管像を評価する方法としては,ERCPによる直接的な胆管造影が従来行われていたが,ERCPでは腸管内の細菌を胆管内に持ち込んでしまい,細菌性胆管炎を合併するリスクがある.またERCP後膵炎などの偶発症発生のリスクもあり,本邦の診療指針 3でもERCPは三次画像検査と位置付けられている.近年はMRCPの画質も向上しており,まずは低侵襲な方法で胆管像を評価する.

低侵襲な検査方法としては,EUSによる胆管壁の評価の有用性も報告されている.Lutzらは,PSCに特徴的なEUS所見として,胆管壁肥厚(1.5mm以上),不整な壁構造,総胆管径の変化,肝門部リンパ節腫脹を挙げている 4.EUSは病初期の変化も捉えられる可能性があり,今後の知見の集積が期待されている.

Ⅱ.3 PSC診断におけるERCPの重要性

しかしながら,それでもやはりPSCの診断においてERCPは重要な役割を担っている.胆管癌や好酸球性胆管炎との鑑別においては,ERCPによる胆管生検は欠かすことができない.特にdominant strictureを有する症例では,胆管癌との鑑別のためのERCPが必要とされている.Dominant strictureとは,径1.5mm以下の総胆管狭窄,および左右肝管分岐部から2cm以内に存在する径1.0 mm以下の肝管狭窄と定義されている(Figure 2).

Figure 2 

Dominant stricture.

PSC患者のMRCP画像.中部胆管に径1.5mm以下のdominant strictureを認める(矢頭).

また,近年は健診や人間ドックなどで軽度の肝障害を指摘され,それを契機にPSCが疑われる症例も増えている.そのような症例では,胆管の硬化性変化もごく軽度であることが多く,MRCPでは診断が困難で,ERCPによってのみ胆管硬化像の指摘が可能な場合もある.これは,造影剤の圧入により胆管を拡張させることで,硬化性変化の存在が明瞭になるという利点である.

さらに,ERCPによる胆管像に基づいた診断に加えて,様々な胆管内腔検査のモダリティの有用性が報告されている.管腔内超音波検査(intraductal ultrasonography:IDUS)は高周波の超音波で胆管壁構造を詳細に観察することが可能であり,PSCにおける特徴として全周性・非対称性の壁肥厚,不正な内腔面,憩室様突出,不明瞭な最外層,三層構造の消失などが報告されている 5.また,偏心性の不正隆起・壁肥厚を示す胆管癌との鑑別にも有用である.経口胆道鏡(peroral cholangioscopy:POCS)は胆管内腔の直接観察が可能であり,急性期所見として発赤・潰瘍・不整粘膜が見られ,慢性期所見として瘢痕・偽憩室・狭窄が見られたと報告されている 6.急性期所見は胆管癌との鑑別が時には難しいが,慢性期所見との混在を認めるとPSCと診断が可能である.POCSは胆管癌との鑑別や,PSCに合併する胆管癌の診断に有用であるとも報告されている.

Ⅱ.4 PSC診断のためのERCPの手技

以上のように,PSCの診断においては,まずは低侵襲なMRCPで胆管像を評価し,加えてEUSによって胆管壁の評価を行うことが推奨される.それらの検査によっても診断が困難な症例や,dominant strictureを有し胆管癌との鑑別が困難な症例ではERCPを行う.その際にはIDUSやPOCSなどのモダリティも併用する.ただし,細菌性胆管炎の合併を極力減らすため,抗生剤の予防投与を検査後数日間行ったり,一時的な経鼻胆管ドレナージ(endoscopic nasobiliary drainage:ENBD)を行ったりする必要がある.なお,十二指腸液の逆流を防ぐため,原則として内視鏡的乳頭切開術(EST)は施行しない.

Ⅲ 黄疸・肝障害の内視鏡的治療

Ⅲ.1 内視鏡的治療の適応

上述の通り,PSCに対する根本的な治療は肝移植のみである.しかしながら,移植を受けられる年齢には上限があること,また年齢的に移植が可能であっても移植を受けられる機会は限られていることからも,移植を回避するあるいは延期するための姑息的な治療には十分意義がある.

PSCに対する内視鏡的治療としては,黄疸や肝障害の改善を目的とした胆管狭窄部のバルーン拡張や胆管ステント留置がある.内視鏡的治療の適応は,原則としてdominant strictureに限る.これより上流の細い肝内胆管枝を治療対象としても,効果が限定的であるばかりでなく,非ドレナージ領域の細菌性胆管炎を合併するリスクが高まる.

Ⅲ.2 内視鏡的治療の方法

治療方法としては,現時点では狭窄部バルーン拡張が第一選択とされている(Figure 3).胆管ステントの留置では,留置中のステント閉塞による細菌性胆管炎の合併の頻度が高い.ステント閉塞のリスクを低減するため,短期的なステント留置の方法が試みられたこともある.Ponsioenらは平均11日間(範囲1~23日間)の短期的ステント留置術の成績を報告しており,再治療を要したのは1年後20%,3年後40%であり,一過性の治療関連偶発症は15.6%に留まったとしている 7.しかしながら,バルーン拡張と最大2週間のステント留置を比較した無作為化比較試験では,中間解析の時点で短期ステント留置群に治療関連偶発症が多く(45% vs. 6.7%,P=0.001),患者登録が中断されてしまった 8.狭窄改善効果は両群で有意差はなかったものの,バルーン拡張が第一選択とされる根拠となっている.

Figure 3 

Dominant strictureに対するバルーン拡張.

a:PSC患者のERCP画像.中部胆管にdominant strictureを認める(矢頭).

b:PSC患者のERCP画像.Dominant strictureに対しバルーンで拡張を行った.

最近報告されたバルーン拡張とステント留置を後ろ向きに比較した研究 9では,ステント留置群で治療開始時のMayo PSC riskスコアが有意に高かったにも関わらず(1.80 vs. 0.93,P<0.001),移植なし生存率(transplantation-free survival)に有意差がなかったことから(バルーン拡張のハザード比0.67【95%信頼区間0.33-1.32,P=0.25】),ステント留置の方が有効である可能性があると結論付けている.しかしながら,後ろ向きの限られた症例数での検討であること,有意差がついていないといってもバルーン拡張群のハザードがやはり低いことなどから,ステント留置の有効性を十分に示しているとはいいがたい.またこの研究でも治療関連偶発症はステント留置群で有意に多かった点にも注意が必要である(33.1% vs. 17.5%,P=0.02).

Ⅲ.3 バルーン拡張の手技

第一選択とされるバルーン拡張においても,手技は確立されていない.Gotthardtらの報告では 10,初回治療として6Frのダイレーターで拡張を行ったのち,4mmのバルーン拡張から段階的に,総胆管では8mm,肝管では6~8mmまで拡張し,十分な拡張が得られるまで4週間隔で治療が繰り返された.さらにその後も1年に1回または肝障害の悪化があった場合に治療が行われた.本研究では,初回治療として平均1.8回(1~8回)の拡張が行われ,最終的に平均5.2回(1~17回)の治療が行われていた.

Ponsioenらの報告では 8,6mmバルーン(肝内胆管の場合は4mm)での単回拡張が行われた.本研究では,狭窄再発までの中央値が26週(95%信頼区間2.3~50週)と報告されているが,再発治療については論文内で言及されていない.単回の治療では長期的な効果は期待できず,半年~1年での繰り返しの治療が必要となると考えられる.

Hanらの最新の報告では 9,狭窄の上流の胆管径まで(4~10mm)の拡張を1回行っている.平均6.3年の観察期間において狭窄再発は3.1%,総治療回数は平均3.1回であったという.

既報を参考として,以下にバルーン拡張の手技を提案する.十二指腸液の逆流を防ぐため,原則としてESTは行わない.狭窄の上流の胆管径を上限として,総胆管は6~8mm,肝管は4~6mmのバルーンで単回の拡張を行う.この際,狭窄が高度である場合には,狭窄突破能に優れたREN(株式会社カネカメディックス)を用いるとよい.診断時ERCPと同様に細菌性胆管炎の合併を防ぐため,バルーン拡張後は一時的にENBDチューブを留置し,予防的抗生剤の投与を術後数日間行うようにする.血液検査やMRCPなどの画像検査でフォローし,半年~1年で再治療を考慮する.なお,特に初回治療時にはdominant strictureに胆管癌の合併がないかどうか,胆管生検や擦過細胞診を行うことに留意し,経過中も適宜再検査を行う.

Ⅲ.4 胆管ステント留置の手技

PSCに対する内視鏡的治療の第一選択は狭窄部バルーン拡張であるが,胆管ステント留置が有効な症例も確かに存在する.Han Sらの報告によれば 9,治療1カ月後の血清ビリルビン値低下はバルーン拡張と比較して良好であった(-2.5 vs. -0.8mg/dl,P<0.005).

しかしながら,上述のごとくステント閉塞による細菌性胆管炎の頻度が高いという問題があり,繰り返す細菌性胆管炎は肝機能を低下させる恐れがある.内視鏡的治療を行う場合には,まずはバルーン拡張を試み,短期間で再治療を要する症例ではステント留置を行うことを考慮すべきと考える.既報を参考にすると,バルーン拡張後半年以内に再治療を要する黄疸・肝障害の増悪がある場合に,ステント治療への変更を考慮するのが妥当ではないか.

良性胆管狭窄に対する治療としては,特に術後狭窄や肝移植後狭窄などにおいて,近年複数本のプラスチックステント留置や金属ステント留置の有用性が報告されている.しかしながら,PSCにおいては狭窄部前後の胆管径が細い場合も多く,これらの治療手技が適応になる症例は少ない.

ステント留置の場合も予防的抗生剤の投与を術後数日間行うようにする.上部胆管~肝門部の狭窄に対してステント留置を行う際には,側枝の閉塞を防ぐためGeenenステント(クックメディカルジャパン合同会社)などの側孔を有するステントを使用する.また上部胆管~肝門部狭窄の症例で中下部胆管に狭窄がない場合,ステント下端を胆管内に留置するinside stentとすることで(Figure 4),ステント下端の食残閉塞を防いだり,十二指腸液の逆流を防いだりする効果が期待でき,ステント開存期間の延長が期待できる.Inside stentとしてはThrough&Pass IS(ガデリウス・メディカル株式会社)が市販されており,抜去用の糸がステント下端に付加されている.ステント抜去時は乳頭から出ている抜去用の糸を生検鉗子で把持し,ステント下端を十二指腸まで引き出してからスネアでステントを抜去するとよい.

Figure 4 

Inside stentによる治療.

a:PSC患者のERCP画像.左右肝管の狭窄部に対し,ステント下端を胆管内に留置したinside stentが2本留置されている.

b:PSC患者の内視鏡画像.ファーター乳頭からinside stentに付加された抜去用の糸が出ている.本症例は他院でESTが施行されていた.

肝門部から下部胆管まで,多発の狭窄に対する治療を行う場合には,両端ピッグテール型のステントの上端側のピッグテール部を伸ばしたまま肝内胆管に留置することで,十分なステント長が得られ,また留置後の位置も安定する.Medi-Globe胆管ステント(株式会社メディコスヒラタ)は上端ピッグテール部が長く,巻き戻る力が比較的弱いことから,伸ばして留置するのに適している.

ステントの交換は原則として3カ月を目安とする.定期の交換で細菌性胆管炎の合併がなかったにも関わらず,交換後に細菌性胆管炎を合併する症例もある.そのような症例では一旦ENBDによるドレナージを行ってから,改めてステント留置を行う場合もある.また細菌性胆管炎のため早期に交換が必要になることも多い.短期間で細菌性胆管炎を繰り返してしまうような症例では,経皮的胆道ドレナージに切り替えることも考慮する.また肝移植の適応となる年齢の場合,肝機能が保たれていても感染のコントロールが困難な症例は肝移植の適応となるため,移植外科へのコンサルトも選択肢となる.

Ⅳ 細菌性胆管炎の内視鏡的治療

黄疸・肝障害の他にPSCにおいて内視鏡的治療の適応となる病態としては,細菌性胆管炎や胆管結石の合併が挙げられる.

細菌性胆管炎に対する胆道ドレナージを行う際には,その適応を慎重に検討する必要がある.多発性・びまん性の胆管狭窄がPSCの特徴であるため,胆道ドレナージを行ったとしても,多くの場合非ドレナージ領域が残存することとなる.やはり黄疸・肝障害の場合と同様に,dominant strictureを有する症例において内視鏡的な胆道ドレナージを考慮すべきである.また一度ENBDや胆管ステントを留置してしまうと,その後ドレナージを抜去すると細菌性胆管炎を繰り返してしまい,長期のステント留置を行わざるを得なくなることが多い.したがって,PSCに細菌性胆管炎を合併した場合,まずは抗生剤投与による保存的加療を優先する.保存的加療に抵抗性の場合で,dominant strictureを有する症例では内視鏡的な胆道ドレナージを試みる.その際にはENBDによる治療を第一選択とし,感染鎮静化後に抜去を試みる.ENBDを留置する際には,食道静脈瘤の合併がないことを確認しておく必要がある.内視鏡的治療困難例では,経皮的胆道ドレナージの適応も考慮する.

Ⅴ 胆管結石の内視鏡的治療

PSCの経過中に急激な黄疸・肝障害の増悪を認めた場合,胆管結石の合併が原因となっていることがある.黄疸・肝障害の増悪の際には,MRCPやEUSなどの画像検査を行う(Figure 5).画像検査の結果,dominant strictureの新出を認めた場合には胆管癌の除外のためERCPが必要となる.胆管結石の合併を認めた場合には,内視鏡的な治療の適応となる.

Figure 5 

PSCに合併した胆管結石.

PSC患者のMRCP画像.急激な黄疸の悪化を認め,MRCPを施行したところ胆管結石の合併を認めた(矢頭).

胆管結石の治療の際には乳頭機能温存のためESTは行わず,乳頭バルーン拡張術(endoscopic papillary balloon dilation:EPBD)を第一選択とする.狭窄の上流に結石が存在する場合には,狭窄部のバルーン拡張も併せて行う.

肝内結石の除去は難度が高く,また治療後の再発も高率であるため,積極的な治療の適応とはしない.肝内結石に細菌性胆管炎が合併した場合,しばしば内視鏡的治療が困難で,経皮的胆道ドレナージが必要になる.

Ⅵ おわりに

本稿ではPSCの診断・治療における胆膵内視鏡検査および内視鏡的治療について概説した.ERCPおよび胆管擦過細胞診や胆管生検,バルーン拡張,ステント留置などのERCP関連手技はPSCの診療に欠くことのできない重要なものであるが,細菌性胆管炎合併のリスクが高く,適応の判断が極めて重要である.

診断においては,MRCPやEUSなど低侵襲な検査を優先し,ERCPを必要とする症例を限定する必要がある.治療においては,原則としてdominant strictureを有する症例を対象とし,バルーン拡張を第一選択として長期ステント留置を行う症例を限定することが必要である.PSCという難病に対し,胆膵内視鏡診療の限界を認識することが手技のコツとして最も重要であるといえる.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:伊佐山浩通(ガデリウス・メディカル株式会社)

文 献
 
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