2023 年 65 巻 6 号 p. 1155-1164
Interventional EUS(IV-EUS)がERCP関連手技困難症例に対してハイボリュームセンターを中心に多く行われるようになってきている.EUSガイド下に胆膵管にアプローチした後に結石や狭窄の治療を行う順行性治療(EUS-guided antegrade procedures;EUS-AG)は一期的に治療を行う方法であるが,EUS-guided drainage/anastomosis(EUS-D/A)は単なるドレナージ術ではなく吻合術でもあるので,完成した吻合部を通した診療手技も可能である.主には術後再建腸管例の胆管・膵管の結石や良性狭窄に対しての施行や,EUS-D/A後に完成した吻合部を介した経消化管壁的胆膵内視鏡治療(Endoscopic Transluminal Procedures via EUS-guided anastomosis)を行っている.また,重症膵炎後に形成される被包化壊死(Walled-off necrosis)に対する内視鏡的Necrosectomyも本手技に分類される.経皮的な手技と比較して低侵襲であるため,患者QOLは良好であるが,まだ専用のデバイスが少ないために手技は確立していない.当院では,胆管・膵管結石治療,胆管・膵管狭窄の診断・治療を主に行い,胆道・膵管鏡を多く用いている.本稿では胆管・膵管に対する手技のコツと注意事項について解説する.
The use of interventional EUS, referred to as IV-EUS procedures is increasing in high-volume centers in the failed/difficult cases for performing ERCP related procedures. As EUS-guided drainage/anastomosis (EUS-D/A) is not only for drainage, but also aids in the creation of anastomosis, endoscopic treatments through EUS-guided anastomosis are available. EUS-guided antegrade procedures (EUS-AG) and transluminal procedures through the EUS-anastomosis are mainly performed for cases with surgically altered anatomy, biliary/pancreatic stones, and stenosis. Endoscopic necrosectomy for walled-off necrosis after severe pancreatitis is classified in this procedure as well. These procedures are less invasive than percutaneous procedures, and the patient quality of life is better; however, the procedure has not been established because there are still a few dedicated devices. In our institution, the management of biliary/pancreatic stones and stricture with per-oral cholangioscopy and pancreatoscopy through the EUS-anastomosis are mainly performed. In this article, the tips and considerations for the techniques through EUS-anastomosis of the biliary and pancreatic duct are explained.
閉塞性黄疸や急性胆管炎に対する内視鏡下の胆道ドレナージは,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)によるステント留置や経鼻ドレナージチューブ留置が第一選択として行われているが,選択的胆管・膵管挿管が困難であったり,術後再建腸管症例や十二指腸閉塞症例などERCPによる手技が困難であったりする症例が存在する.Interventional EUS(IV-EUS)はそれらのERCP困難症例に対する経皮経肝胆道ドレナージ(Percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD)の代替治療として行われてきた 1)~3).また,膵疾患にとっては小腸内視鏡下のERCP関連手技の代替としてだけでなく,今まで治療ができなかった病態に介入する方法として注目されている.悪性疾患ではドレナージが主な目的であるが,良性疾患の場合はドレナージを行うだけでなく,診断と狭窄に対する治療が必要になる.ERCPによる胆管アクセスが困難な症例に関しては,PTBD施行後に,瘻孔の完成を待って,胆道鏡下に胆石治療や狭窄部治療を行ってきた.経皮的な手技であり,瘻孔の形成にも時間がかかり,患者クオリティ・オブ・ライフ(QOL)は不良であった.IV-EUSによる治療は,コンセプトは同様であるが,経消化管壁的なために患者QOLははるかに良好である.しかし,手技の確立や専用デバイスの開発にはまだ時間を要しているのが現実であり,普及にはまだ時間がかかる.本稿では,IV-EUSによる胆膵管ドレナージとそれに引き続いて行われるAntegradeの治療手技,吻合部完成後の治療手技について解説を試みる.胆道疾患に関してはEUS-guided hepaticogastrostomy(EUS-HGS)とその関連手技,膵疾患に関してはEUS-guided pancreatogastrostomy(EUS-PGS)とその関連手技について解説する.
IV-EUSは原則,通常のERCPが困難な症例に行われ,選択的胆管膵管挿管困難例,十二指腸狭窄を伴う症例,術後再建腸管症例などがあげられる.また,ERCP関連手技により突破困難な狭窄に対してドレナージを必要とする胆膵管に対しても行っている.当院では,胆道疾患,膵疾患共にまず,通常のERCPをトライし困難な場合はIV-EUSを行っている.しかし,術後再建腸管症例に関してはIV-EUSを第一選択として積極的に施行し,胆道疾患に関してはダブルバルーン内視鏡下ERCP関連手技と遜色ない成績であることを示している 1).また,膵疾患に対しては,ダブルバルーン小腸内視鏡下の治療を積極的には施行しておらず,IV-EUSを第一選択の治療として施行してきている.
内視鏡治療の適応に関しては通常のERCPと変わらず,抗血栓薬の取り扱いも日本消化器内視鏡学会から出されている「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡ガイドライン」 4)での出血高危険度の消化器内視鏡に準じて治療を行っている.
コンベックスタイプ超音波内視鏡検査(EUS)は主にはFujifilm社のEG-580UTまたはEG-740UTを用いている.スコープのUp angleが19G針挿入下でも大きく曲がり,かつ鉗子挙上が急角度なので,広い範囲が穿刺できるメリットがある.胆管穿刺は,食道穿刺を避けられるB3を主なターゲットとしている.当科で使用しているFujifilm社のスコープでは,スコープを大きくUpした状態(吻合部から距離をとった状態)でB2を穿刺することも可能となってきたので適宜選択しているが,第一選択は安全性の観点からB3としている.特にEG-740UTでは,B2穿刺が容易となってきたので,今後は増加すると思われる(Figure 1-a).B2穿刺の利点は,ガイドワイヤーの中枢部への誘導が容易であることと,胆管拡張に乏しいときにB2.3分岐部のB2側が比較的とらえやすいことである.また,胆管拡張がほとんどなくて胆管の認識が困難なときにはソナゾイド造影を行い,胆管を陰性描出することも試みている.穿刺ポイントを決定したら,穿刺の前にカラードップラーで穿刺ラインに血管がないことを確認する.消化管表面の血管や門脈副血行路があるときは,押しつぶして描出されないときがあるので,少しスコープ圧迫を緩めて観察して確認している.

胆管空腸吻合部症例における肝内結石に対してEUS-HGS施行.
a:19G穿刺針で穿刺,造影.
b:刺入部バルーン拡張.
c:ダブルピッグテールプラスチックステント留置.
穿刺には主に19Gの穿刺針を用いている.22G針と0.018inchガイドワイヤーを用いることもあるが,サポート能力がまだ低いので,できるだけ19G針で穿刺を試みている.当院では針の柔軟性からコイルシース構造を持つEZ shot 3 plus(Olympus)を用いており,あらかじめスタイレットを抜去し,生食で半分に薄めた造影剤をエクステンションチューブとつなぎ,穿刺直前にフラッシュして穿刺針内腔を満たしておく.エクステンションチューブの利点は術者から距離をとれることと,穿刺針の直接注入時に助手の動作により穿刺針がずれてしまわないことである.穿刺の際は穿刺ポイントを常にEUS画面で描出しながら穿刺するが,EUS画面で胆管内に入ったように見えても胆管壁を貫いていないことがあるため,胆管壁付近まで来たらある程度勢いをつけて胆管壁を貫き,胆管内まで針を引き戻す様にしている.EUS画面で針先が胆管内にあるように見えたら造影を行い,胆管であることを確認する.血管を刺していると造影剤は血流と共に速やかに消失するため胆管との区別は容易である.造影は少なくとも肝門部まで,可能ならば総胆管まで造影する.造影をしっかり行うことで胆管径を太くし,その後の処置を行いやすくするほか,ガイドワイヤーの進行方向を見定める意味でも重要である.あらかじめ生理食塩水で半分に造影剤を薄めておくことでしっかり造影しても造影像が濃くなりすぎず,ガイドワイヤーの視認性を確保できる.ガイドワイヤーは狭窄を突破する能力とその後のデバイス挿入を支えるサポート性能の両方が求められ,適切と考えられる0.025 inchのVisiglide2(Olympus社製)を用いている.ガイドワイヤーを胆管内に挿入してから,針先でスタックしたり,操作がスムースでなかったりしたときは,穿刺針を肝実質まで引き戻すとスタックが外れ,操作性が向上するので覚えておきたい.また,近年は22G穿刺針と0.018inchガイドワイヤーの組み合わせでの治療報告が増えている 5).細い胆管を穿刺するには細い穿刺針の方が容易である.今までの0.018inchのガイドワイヤーはサポート性能が不十分で,デバイス挿入にあたってのサポート性能が低かったが,Fielder0.018inch(朝日インテック社製,オリンパス社販売)の透視下視認性は十分で,サポート性能も従来品よりも優れている.しかし,前述の様に0.025inchガイドワイヤーよりはサポート性能は低いために,可能な症例では0.025inchガイドワイヤーを選択するようにしている.
③ 穿刺経路拡張ガイドワイヤーを留置した後の穿刺経路拡張は2段階で行っている.デバイスやバルーンカテーテルが入る最低限の拡張と必要なデバイス・ステントが入るような径を確保するためのバルーン拡張である.当院ではまず,ブジーダイレーターであるESダイレーター(Zeon medica)で機械的に拡張し,バルーンダイレーターのREN(4mm,カネカメディックス)を用いて胆管刺入部と胃壁穿刺部をそれぞれ拡張している(Figure 1-b).RENはバルーンダイレーターの中でもガイドワイヤーとカテーテルの段差が少なく,突破性能が高いのでIV-EUS治療によく用いている.しかし,Push abilityは高くはないので,やはり前拡張は必要と考えている.拡張後は胆汁漏が起きるので,それを最小限にするためにMinimum dilationを心掛けている.また,敢えて肝実質などに非拡張領域を残すSegmental dilationも有効である.また,速やかにステントを挿入する必要があり,バルーンの拡張を解除する前に,助手にステント挿入準備が整ったことを確認してからバルーンの拡張を解除する.
④ ステント挿入悪性疾患では,経消化管的胆管ドレナージステントとして薬事承認を得たSpring Stopper Stent (Taewoong Medical社製,センチュリーメディカル販売)をチャンネル内展開法で留置している.良性疾患では基本的にはプラスチックステントを留置している.胆管膵管内にステント先端を置く場合はストレートステントを留置するが,必ず引き戻し機構のついているステントを選択する.Flexima stent(Boston Scientific社製)かThrough & Pass stent(Gaderius社製)を当科では使用している.ステント先端を仮性囊胞や胆囊のような腔内に置く場合,胆管空腸吻合部や膵管空腸吻合を超えて空腸内に置く場合はDouble pigtail stentを留置する(Figure 1-c).空腸内に置く場合,良性狭窄であればバルーン拡張を行っておいて,側孔の造設は行っていない.ステントが移動して側孔から腹腔内に胆汁や膵液が漏れることが多いからである.挿入性能が良いのでZimmon biliary stent(COOK社製)を用いている.しかし引き戻し機構がないのが不安であり,Gaderius社製の引き戻し機構があるThrough & Passも使用している.ステント端の認識は難しいので,当科ではマジックでピッグテール部分を塗りつぶしている(Full distal marking)(Figure 2)を内視鏡画面で確認し,必ず胃内でループを描くように展開する.

EUSインターベンション時に使用するプラスチックステントのマーキング法.
通常のERCPでは一部分にマーキングをするのみだが,EUSインターベンション時はステント展開時にステントが見にくいこともあるため見逃しを防ぐためマーキング以遠をすべて塗りつぶしている.
EUS-PGSの際の穿刺部の選択は,穿刺角度と穿刺部から狭窄部までの距離の2つから決定する.穿刺針が膵頭側を向くように,頭側を向いて穿刺した方がその後の手技が容易となる.しかし,穿刺部と狭窄部の距離が短いとステントを置くことができないことがある.ある程度CT等から透視下での狭窄部の位置を推測しておいて,透視下でスコープの角度を変えながら最も良い穿刺部位を選択する.穿刺後の造影で距離が短すぎたときは再穿刺を行っている.慢性膵炎の場合は膵実質や膵管自体が固くなっていることやEUS下胆道ドレナージ(biliary drainage;EUS-BD)と異なりスコープがやや見下げになるため穿刺や拡張が困難なことが多い.穿刺はある程度勢いをつけて膵管を貫くように穿刺している(Figure 3-a).

EUS-PGS初回治療時.
a:19G穿刺針で膵管穿刺.
b:吻合狭窄部バルーン拡張.
c:ステント留置.
ガイドワイヤーの留置後,穿刺経路の拡張を行う.EUS-BDの際と同様にブジーカテーテルのESダイレーターやバルーンカテーテルのRENを用いる(Figure 3-b)が,膵実質が硬く,うまく通らないこともある.その際は通電ダイレーター(Fine 025;メディコスヒラタ社)を用いるが通電ダイレーターは出血のリスクがあるためなるべく鈍的拡張を試みる.ステントは狭窄を超えてガイドワイヤーを留置できた際はDouble pigtail stentを留置(Figure 3-c),膵管内に留置する際はストレートタイプのプラスチックステントを留置している.
IV-D/Aに引き続く治療について解説する.経消化管壁ルートからの治療は穿刺に引き続いて行う順行性治療(Antegrade procedure)と吻合部が完成してから行うTransluminal procedureに分けられる.Antegrade procedureでは結石除去術(EUS-guided antegrade procedure;EUS-AG),ステント留置術(EUS-antegrade stenting;EUS-AGS)を行っている.EUSガイド下の膵管アクセスは難しいので,膵石治療は二期的に行っており,一期的結石除去は乳頭があり(胆管切除未施行),除去が容易な小さな胆管結石を適応としている.Transluminal procedureは胆管,膵管共に施行しており,経口胆道鏡(peroral cholangioscopy:POCS)であるBoston Scientific社製のSpyglass-DSを用いた電気水圧式衝撃波による結石破砕(Electrohydraulic lithotripsy:EHL)や直視下生検,複数本ステント留置を行うことでの狭窄拡張があげられる.
① EUS-AGによる治療手技胆管結石除去:EUS-AGは結石除去を行うにあたり,胆管の上流から腸管まで押し出すように結石除去を行っていく.EUSガイドに穿刺(Figure 4-a),ガイドワイヤーを留置するが,ガイドワイヤーは乳頭部を越えてできるだけ長く留置する.引き続きダブルルーメンカテーテル(Unevenカテーテル;PIOLAX社)を用いて造影を行い,腸管へ先端を出してから0.035inchのHard typeのガイドワイヤー(Seekmaster hard;PIOLAX社)を留置し,ダブルガイドワイヤーとする 6).ダブルガイドワイヤー法を行うメリットは,誤ってガイドワイヤーが抜けた際でも安心であること,硬いガイドワイヤーが入ることでのスコープの安定,結石を押し出す動作の際にデバイスのPush abilityが大きくなることなどである.ダブルガイドワイヤーを留置したのち胆管径と結石径に応じて乳頭部をバルーン拡張する(Figure 4-b).10mm以下の場合はREN(カネカメディックス社)を用い,それ以上の場合はGIGA(センチュリーメディカル社)を用いている.十分な乳頭または吻合部拡張は続く結石除去を容易にするためノッチがきれるまで拡張を行う.続いて結石除去用のバルーンカテーテルを挿入し,上流から下流にかけて結石を押し出していく(Figure 4-c).デバイスが入りやすいように穿刺経路も4mmのバルーンカテーテルで拡張しておく.通常のERCPと異なり,スコープの力で結石除去することはできず,バルーンカテーテルを押す力のみが結石除去を行う原動力になっているため,乳頭部を通過する際は助手によるバルーン径の調整が重要である.バルーンカテーテルはラピッドタイプではなく全長にガイドワイヤーが通るタイプが必須である.当科ではExtractor(Boston Scientific社製),Multi 3V(オリンパス社製)のほかに,オフセットバルーン(ゼオン社製)も使用している.また,経験数は少ないがCook社製のバウンサーもPush abilityが高いカテーテルである.結石除去成功を確認したのち,当院では再度Double pigtail stentを留置している(Figure 4-d).これは合併症が起こった際にアプローチ経路を残しておく必要があるという点と吻合部形成をより強固にし,安全にステントを抜去するためである.ステントの抜去は結石除去治療の1カ月後を目安としている.

Roux-en Y再建腸管後の総胆管結石に対するEUS-antegrade procedure.
a:造影後,ダブルルーメンカテーテルを用いてダブルガイドワイヤー法を施行.
b:穿刺部の拡張を4mmバルーンダイレーターで施行.
c:バルーンカテーテルで結石除去を施行.
d:ダブルピッグテールステント留置(1)より一部改変.
1)ステント抜去,吻合部完成有無の確認
二期的に行う場合は側視鏡(ED-580T;Fujifilm社)でステントの刺入部を確認し,ERCP用カテーテル(MTW社)をステントの脇から挿入する.この際,遠景で処置を行うとカテーテルの先端がぶれやすく,粘膜面を擦り条件が悪くなるので近景から中間景でステントの軸に合わせながらスコープのアップアングルで少しだけカテーテルを挿入し,ガイドワイヤーを挿入していく.この際のスコープ操作は慣れが必要であり,特に膵管に軸を合わせるためにはダウンアングルをしっかりかけないと視認できないこともある(Figure 5-a).この時点でガイドワイヤーが腹腔内に出てしまう場合は吻合部が完成していないので,手技は中止する.ガイドワイヤーは可能な限り長く挿入し,乳頭・吻合部を超えて腸管内まで進める.乳頭を越える際はガイドワイヤーの先端を回転させ探るようにして進めていく.ガイドワイヤーを十分な長さ留置した後,把持鉗子を用いてステントを抜去し,カテーテルを挿入して胆管造影を行う.このときに吻合部から造影剤が漏出しないか,確認する.ごく少量であれば問題ないが,ある程度漏出がはっきりしている場合には再度ステントを留置してその後の処置は中止する.

EUS-PGSルートから経口膵管鏡挿入.
a:ステント挿入部を視認するためにはダウンアングルを強くかける必要がある.
b:経口膵管鏡挿入.
c:経口膵管鏡下生検.
d:膵石に対してのEHL.
2)吻合部完成後の狭窄拡張治療
胆管・膵管空腸吻合部の突破:初回治療時に狭窄部を突破できていない場合ガイドワイヤーで狭窄した吻合部を探る必要がある.造影で吻合部の位置を想定しながら親水コーティングされているガイドワイヤー(Radifocus;テルモ社製)を用いて探っていく.ガイドワイヤーだけでは探り切れない場合は先端の方向が変えられる内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)ナイフやカテーテルを使用する.また,バルーンカテーテルで造影剤を圧入して狭窄部の向こう側が造影されることがあるので,参考となる.透視下で吻合部の同定が難しい場合は後述する方法でEUS下の吻合部を拡張後にPOCSを挿入し,直視下に吻合部を探すという方法もある.
POCSの挿入:胆・膵管空腸吻合部を超えてダブルガイドワイヤー法を用いて0.025inchと0.035 inchのガイドワイヤーを留置する.穿刺経路を6 mmまでバルーンで拡張し,POCSの挿入を試みる(Figure 5-b).当科ではBoston Scientific社製のSpyglassのシステムを使用している.POCSが入らない場合には無理せずにステントを2本留置して終了とする.数日経過したら吻合部は拡張されていて,POCS挿入可能となる.POCS下に狭窄部を観察し,悪性を疑う所見がないかを確認する.そして必ず生検を施行する(Figure 5-c).現在ではより検体量が多いSpybite max(Boston Scientific)を選択する.
Plastic stent複数本留置による狭窄部拡張:良性であることが確認された症例では複数本留置を1年以上施行することで狭窄拡張を試みている.胆管径を見ながら2本または3本のステントを留置する.交換はステントを1本残して抜去し,ガイドワイヤーを留置してから最後の1本を抜去するようにしている.一気に全部抜くと吻合部の場所がわからない,ガイドワイヤーが通らない,通りにくい症例を経験したからである.1本のときは3カ月を,複数本であれば4-5カ月を上限として交換を行い,1年以上が経ったら,交換時に造影を行い,狭窄部が十分な拡張が得られているようであれば抜去する.抜去後2日以上は入院を継続し胆管炎,膵炎が起きなければ退院させている.2日くらいであれば吻合部の場所さえわかれば再挿入が可能である.
3)吻合部完成後の結石治療
吻合部完成後に二期的に結石除去を行うときは前述の通り,十二指腸鏡を用いて手技を行い,ガイドワイヤーを1本挿入している状態で,ERCP用カテーテル(MTW社)を挿入する.造影を行った後にバルーンで結石除去を行うが結石が大きい場合はPOCSを挿入し,EHLを行う.Spyglass-DSは約3mmであり,ステント挿入時のように軸を意識して挿入する.Spyglass-DSは4方向にアングルが操作可能なため,助手がアングル操作で挿入を補助することは大切だが大きく先端が曲がるため曲げすぎるとかえって挿入しにくくなる.そのため,アングル操作は最小限にしてSpyglassを胆管ないし膵管内に誘導する.胆管ないし膵管内に挿入した後は助手がスコープのアングル操作と送水機能を使用し管腔を真ん中にとらえるようにして観察を行っていく.EHLを行う際は送水による胆管・膵管内圧が上がりすぎないように気をつける.EHL probeを結石に軽く当てるようにして砕いていく(Figure 5-d).乳頭や吻合部が十分に拡張されていれば送水やスコープで結石を押し出していく.
吻合部形成後の合併症として注意しなくてはならないものはステントの逸脱である.通常のERCPと同様に処置翌日のレントゲンでステントの位置をチェックすることや,外来通院の際にレントゲンを確認し,ステントの逸脱の有無を確認する.狭窄が十分に拡張されているとステントが逸脱することがある.吻合部形成が十分であれば膵液が漏出する恐れは少なく,自然と吻合部も閉鎖するため問題はないが,治療が完遂していない場合はステントの逸脱は膵管へのアプローチ経路を失うこととなり,再度吻合部形成が必要になってくるためステントの逸脱は発覚した時点で早急に処置を行う.POCS・経口膵管鏡(Per-oral pancreatoscopy:POPS)を用いた処置は膵炎や胆管炎のリスクがあるが,実臨床では膵炎・胆管炎を起こした症例はほとんどいないため,比較的安全に行えると考えている 1),7).
IV-EUSとそれに引き続く治療手技について解説した.吻合部形成が十分になされていた場合吻合部を介した治療は比較的安全で,落ち着いて処置ができるため一期的にIV-EUSで治療するのではなく,二期的に行うことが増えてきている.治療の安全性と選択肢の幅が広がったことで,バルーン内視鏡下ERCPやPTBDに頼らないと行えなかった処置ができるようになってきており,第3の選択肢としても認識されつつある.IV-EUSはすべての施設で行えるわけではなく,まだ限られた施設でのみ行われているが様々な施設での治療報告も増えてきている.吻合部を介した治療はスコープの操作が特殊であり,安定して治療を行うためには慣熟が必要だが,基本動作はERCPの技術で十分応用可能である.われわれはIV-EUSとEUS下吻合部を通じた治療を積極的に行っており,術後再建腸管症例などERCP困難が予想される症例にはその効果を実感している.
本論文内容に関連する著者の利益相反:伊佐山浩通(富士フイルム株式会社,ボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社)