2024 年 66 巻 2 号 p. 119-128
近年,不自然な同一拘束姿勢や頻回な手首のひねり動作を余儀なくされる内視鏡医の筋骨格系障害(musculoskeletal disorders;MSDs)が注目されている.MSDs有病率と罹患部位の特徴や従事時間,内視鏡環境,内視鏡医の背景要因など多岐にわたるリスク因子の報告を紹介する.また,リスク軽減戦略として知られているHierarchy of Controlsの考え方,人間工学的対策を解説し,多様なステークホルダとの連携による包括的アプローチにて内視鏡現場を改善させるため内視鏡と人間工学分野の動向を読者と共有する.本総説を多くの消化器内科医が長く安全に内視鏡診療に従事するための手引きとして頂きたい.