2024 年 66 巻 7 号 p. 1458-1464
66歳女性.ふらつき,腹痛,黒色便の精査加療目的で当科に紹介となった.EGD施行時,送気による胃壁伸展は不良で,胃体中部小彎に約8cm大の潰瘍性病変を認めた.潰瘍底にKerckring襞を有する腸管開口部が見られ,内視鏡下X線造影検査で上部空腸と胃との交通を認め,胃空腸瘻合併胃潰瘍と診断した.潰瘍からの生検で悪性所見を認めず,非ステロイド性抗炎症薬(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)潰瘍もしくはヘリコバクター・ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染による胃潰瘍と診断した.保存的治療で潰瘍は瘢痕化し,胃空腸瘻のみ残存したが,潰瘍の再発や症状の出現はなく経過している.送気による胃壁伸展が不良な巨大潰瘍性病変を認めた場合は,胃空腸瘻の存在を念頭におく必要がある.