日本消化器内視鏡学会雑誌
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膵管ステントとインドメタシン併用の有無によるERCP後膵炎予防:無作為化非劣性試験
河上 洋
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2024 年 66 巻 8 号 p. 1650

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【背景】ERCP後膵炎(post-ERCP pancreatitis:PEP)の高危険群に対するインドメタシンの直腸内投与と予防的膵管ステント留置の併用が推奨されている.予備的研究ではインドメタシンの直腸内投与が技術的に複雑で,費用がかかり,潜在的に有害になり得る膵管ステントの必要性を低減する可能性が示唆されている.

【方法】米国とカナダの20施設で無作為化非劣性試験が行われた.PEPの高危険群(18歳以上)を直腸内インドメタシン単独投与(100mg)群またはインドメタシン(100mg)と予防的膵管ステント併用群に割り付けた.主要評価項目はPEPの発生率であり,非劣性マージンはintention-to-treat(ITT)とper-protocol解析の双方で5%未満と設定された(ClinicalTrials.gov:NCT02476279).インドメタシン坐剤および予防的膵管ステントの留置を除くすべての手技関連の介入は内視鏡医の裁量に委ねられた.

【結果】2015年9月~2023年1月までに1,950人が割り付けられた.PEPはインドメタシン単独群で14.9%(145/975),インドメタシンと膵管ステント併用群で11.3%(110/975)(リスク差3.6%;95%CI 0.6-6.6;P=0.18)に発生した.事後ITT解析ではインドメタシン単独群はインドメタシンと膵管ステント併用群よりも劣っていた(P=0.011).安全性アウトカム(重篤な有害事象,集中治療室への入院,入院期間)は両群間で差がなかった.

【結語】高危険群におけるPEPの予防効果に関しては,インドメタシン単独はインドメタシンと膵管ステント併用に対して劣性であった.

《解説》

本研究ではPEP高危険群に対するインドメタシン直腸内投与と予防的膵管ステントの併用の有用性が明らかとなった.これまでインドメタシンの直腸内投与と予防的膵管ステントの双方がPEPの発生率と重症度を低下させることが明らかとなっており,これらの併用は理にかなっていると言えよう.

インドメタシン坐剤は広く入手可能であり,安全に投与が可能である.一方,膵管ステント留置は技術的に困難なことがあり,留置時間と費用面での問題もある.また,特定の状況下では潜在的に有害となり得る.しかし,今回の無作為化非劣性試験の結果では両者の併用が推奨される結果となった.予防的膵管ステント留置の相対的有益性はサブグループ間で概ね一貫しており,PEPのリスクが最も高い患者でより顕著にみられた.本研究の結果や評価は盲検化されており,多数の施設で行われ,参加した内視鏡医も100人以上であることより,標準化された結果と言えよう.

本研究の問題点は,使用する膵管ステント長と直径が統一されていないことである.短い膵管ステントは膵頭体移行部近傍の主膵管を突き上げた状態で留置せざるを得ないことを経験する.実際,本研究の30%では8cm長以上のステントが使用されていた.

なお,PEP予防における積極的な輸液(aggressive hydration)についての役割やその有用性は未解決のままである.また,本邦ではインドメタシン坐剤の投与はそもそも適応外使用に該当し,投与量も日本人向けではない.予防的膵管ステントについても適用外使用であることには注意を要する.

文 献
 
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