日本消化器内視鏡学会雑誌
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AIシステムを併用した大腸内視鏡検査による腺腫の検出率向上の有用性:大規模な米国多施設ランダム化臨床試験
千野 晶子
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2025 年 67 巻 2 号 p. 187

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要旨

【背景】近年,APC(adenoma per Colonoscopy)が大腸内視鏡検査の質的指標として評価されている.そこで,AI(Artificial Intelligence)システム併用の有無による大腸内視鏡検査での腺腫の検出率について,APCによる評価が行われた.

【方法】本試験は,米国をベースとした多施設ランダム化臨床試験の前向き研究である.使用したAIシステムは,EW10-EC02(CAD-EYE;Fujifilm,Tokyo,Japan)である.対象者は,45歳以上のスクリーニングもしくは,ポリープ切除後3年以上が経過した平均リスク被験者となっている.使用電子スコープは高性能機種を用い,CAD-EYE併用群(CAC)または,非併用群(CC)のいずれかを受けるかは,事前に治療コード表と各施設の電子データベースを利用し,無作為化を行った.主要評価項目は,APCおよびIRR(Incident rate ratio)とし,副次評価項目は,PPV(総ポリープ数のうちの腺腫の割合)とADR(adenoma detection rate)等となっている.

【結果】対象者は1,031件(平均年齢59.1±9.8歳;男性割合49.9%)で,Intention-to-treat analysisにてCAC群520件に対し,CC群523件,2群間で年齢や性別,人種,大腸内視鏡検査の適応に差はなかった.CAC群とCC群のAPCは,それぞれ0.99±1.6vs 0.85±1.5(P=0.02)であり,IRRは1.17(1.03- 1.33,P=0.02)であった.双方の抜去時間に有意な差はなかった(11.28±4.59分vs 10.8±4.81分;P=0.11).PPVは,CAD群とCC群でそれぞれ48.6%vs 54%(95%CI:-9.56%~ -1.48%),ADRは46.9%vs 42.8%であり,Advanced DRは6.5%vs 6.3%,Sessile serrated lesion DRは12.9%vs 10.1%,Polyp DRは63.9%vs 59.3%であった.大腸内視鏡あたりのpolyp数は,CAD群で1.68±2.1,CC群で1.33±1.8,IRRは有意に高かった(1.27;1.15- 1.4;P<0.01).

【結語】新規AIシステム併用した大腸内視鏡検査において,抜去時間の影響を受けることなく,検査あたりの腺腫の発見率が向上する結果となり,AIシステム導入による大腸内視鏡検査の質の向上が示された(Clinical Trials. gov NCT04979962).

《解説》

本論文の既報と異なる点は,大規模な多施設共同研究において,1回の内視鏡検査の始終を通して腺腫の検出能に主眼をおき,APCを主要評価項目においた事と,検査医の基準をあえて経験豊富な内視鏡医とし,技術的バイアスを小さくしている点にある 1.昨今,AIシステムの併用による大腸内視鏡検査の質の検討に関する報告が増えているが,その評価項目としては主にADRが用いられる.その背景には,ADRが1%増加することでがんリスクが3.0%減少するとしたADRとがん発症リスクの相関性に関するランドマーク論文が多く引用されるところにある 2.一方,本邦において開発された消化器内視鏡に関するいくつかのAIシステム装置の評価方法は様々であり,必ずしも統一化されてはおらず,性能を比較する際には評価方法の認識も必要と考える 3.ADRの定義は,内視鏡検査中の一つ以上の腺腫の発見の有無で評価する‘One and done’とされており,検査終盤での疲労による病変検出の低下を加味されない可能性も懸念されるため,本来の大腸内視鏡検査の質の評価にはAPCが適しているとの見解もある 4),5.本論文では,APC以外にも臨床的意義のある病変を意識した詳細な分析がされており,EW10-EC02の併用においてAdvanced adenomaやSSLの検出率いずれもCAC群で優れていたことは注目できる.また,既報と同様に小さいポリープの検出率において優れていることに関しても,サーベイランス間隔の延長に寄与する可能性から,AI併用の大腸内視鏡検査は費用対効果としても期待される 1

文 献
 
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