2025 年 67 巻 4 号 p. 339
【背景】胃腫瘍の早期発見は良好な治療結果をもたらす.最新の内視鏡システムEVIS X1には,第3世代Narrow-band imaging(3G-NBI),Texture and colorenhancement imaging(TXI),高精細白色光(WLI)が搭載されている.この無作為化第Ⅱ相試験は,胃腫瘍検出においてWLI,3G-NBI,TXIのいずれが最も有望な画像観察法であるか同定することを目的とした.
【方法】食道癌または胃腫瘍の既往後にサーベイランス内視鏡検査が予定されている患者,または既知の食道癌または胃腫瘍に対する術前内視鏡検査を受ける予定の患者を,3G-NBI群,TXI群,WLI群に無作為に割り付けた.各群で内視鏡観察が行われ,新たな胃腫瘍病変が疑われる病変はすべて生検された.主要評価項目は,一次観察中の胃腫瘍検出率であった.副次的評価項目は,胃腫瘍の見逃し率,早期胃癌発見率,胃腫瘍診断の陽性適中率であった.有望な画像観察法の判定基準は,3G-NBIとTXIの間で胃腫瘍検出率がより高く,かつWLIを1.0%以上上回った観察法とした.
【結果】最終的に901例が登録され,3G-NBI群,TXI群,WLI群に割り付けられた(それぞれ300例,300例,301例).3G-NBI群,TXI群,WLI群における胃腫瘍検出率は,それぞれ7.3%,5.0%,5.6%であった.胃腫瘍の見逃し率は1.0%,0.7%,1.0%,早期胃癌の検出率は5.7%,4.0%,5.6%,胃腫瘍診断の陽性適中率は3G-NBI群,TXI群,WLI群でそれぞれ36.5%,21.3%,36.8%であった.
【結語】TXIおよびWLIと比較して,3G-NBIは胃腫瘍検出においてより有望な観察法である.
高精細白色光,3G-NBIおよびTXIを搭載した最新の内視鏡システム(EVIS X1)による各3群の胃腫瘍検出能を比較した研究で,いくつかの興味深い知見が得られている.まず,3G-NBIはTXIおよびWLIと比較して,胃腫瘍検出率が高く,陽性的中率や見逃し率が同等であることから,胃腫瘍検出の最も有望な観察法としての可能性を示した.次に,旧世代システムと比較して,WLIと3G-NBIの両方で高い検出率を示したことは,EVIS X1の技術的進歩が寄与していると強調されている.さらに,TXIは胃腫瘍検出に対して,WLIやNBIよりも胃腫瘍検出に関する有用性を示せなかった.これは内視鏡医によるTXI観察の修練がまだ不十分である,あるいはTXIが胃腫瘍だけでなく背景粘膜の色調の違いも強調するため,小病変の検出が妨げられた可能性があると考えられる.本研究の限界として,統計学的解析を行わない第Ⅱ相研究であることから,3G-NBIの有用性を示すためには,今回の結果を元にした第Ⅲ相試験が必要である.また,2G-NBIでのRCTと比較して,患者背景因子が異なるため,3G-NBIが2G-NBIよりも検出力が上回っているとは言い切れない.しかしながら,本研究は胃腫瘍の検出に対して,3G-NBIがWLIを上回る可能性が示された点で興味深い.