日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
消化管アミロイドーシスの診断
仲瀬 裕志
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2025 年 67 巻 5 号 p. 1039-1047

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抄録

アミロイドは消化管に沈着しやすいため,消化管からの生検は病理診断の対象となる.そのため,消化管病変を有する全身性アミロイドーシス患者において,内視鏡的および組織学的観点からその特徴を学ぶ必要がある.消化器症状は通常非特異的であるが,アミロイド沈着の病理組織学的パターンは臨床的および内視鏡的特徴と関連している.AL,Aβ2M,ATTRアミロイドは粘膜下層に沈着しやすい.一方で,AAアミロイドは粘膜表層に沈着しやすい.その結果,ALアミロイドーシスは通常,便秘,機械的閉塞,慢性腸閉塞を呈するが,AAアミロイドーシスは下痢や吸収不良を呈する.十二指腸では,細かい粒状の外観やポリープ状の突起が生じやすく,生検陽性率の高い十二指腸からの生検標本採取を考慮すべきである.アミロイドーシスの消化管症状はほとんどが難治性であり,患者のquality of Lifeや生存に影響を及ぼす.アミロイドーシスは予後不良の疾患であるため,早期の診断と治療が必要であり,内視鏡検査が診断に重要な役割を果たす.

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© 2025 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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