日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
胃の神経内分泌腫瘍・神経内分泌癌の内視鏡診断
松枝 克典 上堂 文也北村 昌紀
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2025 年 67 巻 5 号 p. 1048-1059

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抄録

胃神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)は一般的に低悪性度の経過をたどり予後がよい腫瘍である一方,胃神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma:NEC)は,発生頻度が胃癌全体の0.2~0.6%と稀だが,急速な発育性質をもち,脈管侵襲陽性率・転移率の高い,高悪性度腫瘍である.そのため,進行した状態で発見されることが多く,確立された治療方法もないため予後不良の疾患である.また,胃NECは,先行する分化型腺癌の深部で発生するため,術前生検病理組織学的診断の正診率が低く,確定診断に時間を要することもある.このように,胃においてNETとNECは全く異なる性質の腫瘍であり,悪性度が非常に高い胃NECは胃NETまたは一般型胃癌とも厳密に区別しなければならない.しかし,これまで胃NET,胃NECの特定の病理組織学的診断に至る特徴的な内視鏡像についての報告は少ないのが現状である.本稿では代表的な内視鏡所見を提示しながら,胃NET,胃NECの内視鏡診断の要点について概説する.

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© 2025 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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