2025 年 67 巻 5 号 p. 1060-1068
【背景・目的】EGD検診受診者において,近年増加が指摘される表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumors:SNADETs)の発見率及びその比率に影響する因子を検討した.
【方法】5年間のEGD検診受検者13,138例を対象としてSNADETsの発見率を算出した.また,当該の内視鏡医の内視鏡実施件数に対するSNADETs発見症例数で定義されるSDR(SNADETs detection rate)を算出し,SDRに影響する因子を抽出した.
【結果】5年間のEGD受検者のSNADETs発見率は0.21%(=27例/13,138例)で既報(0.03~0.04%)より高かった.また,各内視鏡医のSDRは0.29~5.95‰(中央値:1.39‰)と大きな相違があり,SDRの高い内視鏡医は他の内視鏡医と比べ下十二指腸角~水平部のSNADETsを有意に多く発見していた.
【結論】EGD検診での下十二指腸角~水平部までの丹念な十二指腸の内視鏡観察はSNADETsの発見率を向上させることが示唆された.
Background: Recently, the incidence of superficial non-ampullary duodenal epithelial tumors (SNADETs) has been increasing in Japan. The detection rate of SNADETs and associated factors were investigated in Japanese health checkup examinees who underwent EGD.
Methods: The overall detection rate of SNADETs was calculated for 13,138 patients who underwent EGD during a five-year observation period. Moreover, an objective index, the SNADET detection rate (SDR), was defined as the ratio of detected SNADET cases to the number of EGD cases for each endoscopist. The clinical factors associated with the SDR were analyzed and statistically extracted.
Results: The overall detection rate of SNADETs was 0.21% (27/13,138 cases), which was higher than that previously reported in Japan (0.03-0.04%). SDR varied depending on the endoscopist (SDR range; 0.29-5.95‰, median; 1.39‰). Statistical analysis demonstrated that endoscopists with a high SDR detected significantly more SNADETs in the inferior duodenal angulus and horizontal part of the duodenum than other endoscopists.
Conclusion: Thorough duodenal observation, including the inferior duodenal angulus and horizontal part of the duodenum, during upper gastrointestinal screening in health checkups may improve the overall detection rate of SNADETs.
表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumors:SNADETs)は,従来,全消化管腫瘍の1~2%に相当し,その発見率は海外の報告を含めると様々だが,本邦では比較的稀な疾患と考えられてきた 1)~3).しかし,近年の上部消化管内視鏡検査(EGD)の普及に伴いSNADETsの報告例は増加しているが,EGD検診受診者を対象としたSNADETs発見率の検討は限られている 4)~6).また,SNADETsの進展と連続性のある非乳頭部十二指腸癌(non-ampullary duodenal carcinoma:NADC)に関しても,2020年に報告された本邦の全国がん登録データによれば,その粗罹患率は人口100万人あたり年間23.7人と欧米に比べ頻度が明らかに高いことが示唆されている 7).
目的今回われわれは,SNADETsが増加傾向にある現況を鑑み,5年間の観察期間に職域検診あるいは人間ドック・任意型検診としてEGDを受検した10,000例を超える検診受診者(以下,受検者)を対象とし,SNADETsの発見率及びその発見率に影響を及ぼす因子を抽出するために後方視的な解析を行った.
2018年4月1日~2023年3月31日の期間に北陸予防医学協会の3つの関連施設(とやま健診プラザ,健康管理センター,高岡総合健診センター)でEGDを受検した13,138例の受検者を対象とした.これらの受検者の中で,EGDでの十二指腸のスクリーニング時にSNADETsが疑われ,その際の狙撃生検,並びに,EGD実施時に「C:要経過観察・要再検査・生活指導」,「D:要医療」と判定され,当該の医療機関での精査加療を通じて,病理組織学的に腺腫あるいは粘膜層から粘膜下層に限局した癌と診断された症例をSNADETs発見症例とした.
方法1)SNADETs発見症例の臨床的評価項目
SNADETs発見症例について,内視鏡マネジメントシステム上のファイリング記録やカルテ記載に基づき,使用した内視鏡(経口内視鏡/経鼻内視鏡),年齢,性別,腫瘍の発生部位,病変径,色調,肉眼型,組織学的所見(粘液形質を付記)及び臨床的転機を評価した.腫瘍の発生部位は,解剖学的な定義に基づき,球部,上十二指腸角,下行部,下十二指腸角,水平部に分類した.下行部に関しては,腫瘍の発生学的な観点から,十二指腸乳頭部より口側と肛門側に亜分類した.腫瘍の色調は,発赤調,白色調,同色調に分類した.肉眼型は,十二指腸癌の取り扱い規約が存在しないため,大腸癌取り扱い規約に準じて,隆起型(0-Ⅰ型)と表面型(0-Ⅱ型)に分類した.さらに,隆起型(0-Ⅰ型)は有茎型(0-Ⅰp型),亜有茎型(0-Ⅰsp型),無茎型(0-Ⅰs型)に,表面型(0-Ⅱ型)は表面隆起型(0-Ⅱa型),表面平坦型(0-Ⅱb型),表面陥凹型(0-Ⅱc型)に亜分類した.組織学的所見は,当施設では委託先の病理医の判断,他施設では当該施設の病理医の判断に基づき,World Health Organization(WHO)分類に準拠して,低異型度腺腫,高異型度腺腫,癌に分類した.粘液形質の評価は,当施設での生検症例は当該の病理医の肉眼的な判断で,病変表層が絨毛状あるいは乳頭状の胃腺窩上皮様の構造を示す胃型形質を疑うSNADETsのみに免疫組織染色が行われて評価されており,また,他施設で病理診断された症例は当該施設での判断に基づいている.
2)当施設全体でのSNADETsの発見率と各内視鏡医のSNADETs detection rate(SDR)
当施設全体でのSNADETsの発見率は,観察期間中のEGD実施件数に対するSNADETs発見症例数で算出した.また,年度別のSNADETsの発見率及びその年次推移を統計学的に解析した.なお,受検者1例あたりのSNADETsの発見率を算出するため,観察期間中に経時的にEGDを継続している重複例は1例として扱った.
また,内視鏡医のうち,SNADETsを発見した内視鏡医を対象として年度別のEGD実施件数,SNADETsの発見症例数を評価した.これらの内視鏡医の中で,5年間を通じて累積500例以上のEGD実施件数のある内視鏡医のみ,EGD実施件数に対するSNADETs発見症例数で定義されるSNADETs detection rate(SDR)を算出して比較した.なお,SDRは‰を用いて算出した.
3)SNADETs発見症例に併存する胃粘膜萎縮の判定及びH. pylori感染状況の評価
SNADETs発見症例に随伴する胃の内視鏡所見として,改訂木村・竹本分類による胃粘膜萎縮の有無,H. pylori(以下,Hp)感染状況(未感染相当,現感染及び既感染)を評価した.胃粘膜萎縮の判定は全例複数の内視鏡医による二重読影に基づく.Hp感染状況(未感染相当,現感染及び既感染)は,内視鏡所見,当施設での血清抗Hp抗体の結果,EGD施行前の内視鏡看護師が行う問診で確認した他施設でのHp関連検査の結果や除菌治療歴で判断した.当施設で採用している血清抗Hp抗体に関して,2018年度~2019年度は栄研化学・ラテックス凝集比濁法(基準値:3.0U/mL未満),2020年度~2022年度は栄研デンカ・ラテックス凝集比濁法(基準値:10.0U/mL未満)を用いて判定した.なお,本検討でのHp未感染相当の症例には,すべての受検者がHp関連検査を受検している訳ではないため,二重読影でC-0と判定された肉眼的根拠のみに基づく症例を含んでいる.
4)使用した内視鏡機器,前処置及び内視鏡観察法
内視鏡検査について,とやま健診プラザでは経口内視鏡あるいは経鼻内視鏡のいずれか,健康管理センターと高岡総合センターでは経口内視鏡検査のみを使用した.なお,とやま健診プラザでは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で2020年4月以降は経口内視鏡検査のみを使用した.鎮静薬と鎮痛薬は使用していないが,鎮痙薬はl-メントールを必要に応じて使用した.内視鏡機器について,経口内視鏡はEVIS LUCERA ELITE上部消化管汎用ビデオスコープ OLYMPUS GIF-H290(OLYMPUS社製),経鼻内視鏡はEVIS LUCERA上部消化管汎用ビデオスコープ OLYMPUS GIF-XP290N(OLYMPUS社製)を使用した.内視鏡観察法は,当施設で固定された標準法はなく,十二指腸は全例で球部~下行部(肛門側)を観察し,内視鏡医によっては挿入可能な範囲内で水平部まで観察した.画像強調内視鏡(image-enhanced endoscopy:IEE)は,narrow band imaging(NBI)による狭帯域光観察あるいはインジゴカルミンによる色素内視鏡観察を行った.
5)統計学的な解析
当施設全体での年度別のSNADETsの発見率の年次推移の比較に際して,ロジステック単変量解析を行い解析した.
また,SNADETsの発見に寄与する因子を抽出するため,SDRを算出した内視鏡医の中で,SDRの高い内視鏡医とその他の内視鏡医に層別化し,各々の群間で2)で着目した臨床的評価項目に加えて,各内視鏡医の内視鏡年間実施件数の中央値,内視鏡従事歴を比較検討した.この際,連続変数にStudent t検定を,カテゴリー変数にPeason χ 2検定あるいはFisher正確確率検定を使用して解析した.
本検討を行うにあたり,すべての受検者は各々のデータが学術的検討に利用される場合があることを受診票の紙面を介して同意している.また,北陸予防医学協会の倫理委員会での承認を取得している(許可番号 R3-1).
SNADETsと診断された27例28病変の臨床的特徴を示す(Table 1,2).経鼻内視鏡を使用した症例が1例,経口内視鏡を使用した症例は26例であった.性別は男性:19例,女性:8例,年齢の中央値は54歳(範囲:38~77歳)であった.腫瘍の発生部位は球部:2病変,下行部:14病変(乳頭部より口側:6病変,乳頭部より肛門側:8病変),下十二指腸角:4病変,水平部:8病変であり,病変径の中央値は4mm(範囲:1~35mm),色調は発赤調:1病変,白色調:18病変,同色調:9病変,肉眼型は表在隆起型(0-Ⅰs型):1病変,表面隆起型(0-Ⅱa型):13病変,表面陥凹型(0-Ⅱc型):6病変,混合型(0-Ⅱa+Ⅱc型):8病変であり,下行部から水平部に10mm未満の白色調の病変として発見される症例が多かった.組織学的所見では,28病変のうち内視鏡切除標本の病理組織で診断されたものは17病変,病変部への狙撃生検のみで診断された症例が11病変であった.病変の異型度は,低異型度腺腫:25病変,高異型度腺腫:3病変で,粘液形質は,胃型形質:2病変,腸型形質:26病変であり,腸型形質を伴う低異型度腺腫が多かった.臨床的転機は,経過観察:11病変,cold snare polypectomy(CSP):4病変,内視鏡的粘膜切除術(EMR):10病変,underwater EMR(UEMR):2病変,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD):1病変であった.

SNADETs発見症例の臨床的特徴.

各SNADETs発見症例の臨床的評価項目.
5年間の観察期間中の受検者13,138例の中でのSNADETsの発見率は0.21%(=27例/13,138例)であった.年度別のSNADETsの発見率は,2018年度:0.06%(=3例/4,629例),2019年度:0.07%(=4例/6,082例),2020年度:0.11%(=3例/2,846例),2021年度:0.25%(=10例/4,053例),2022年度:0.17%(=7例/4,239例)であり,年間発見率の平均値は0.13%,中央値は0.11%と算出されたが,発見率の年次推移に有意な上昇を認めた(p=0.022)(Figure 1).

SNADETsの発見率の年次推移.
SNADETsを発見した内視鏡医9名(内視鏡医A~I)のうち,内視鏡実施件数が累積500例未満の内視鏡医B,Fを除く内視鏡医のSDRの範囲は,0.29~5.95‰(平均値:1.75‰,中央値:1.39‰)と算出された.その内訳は,内視鏡医A:4例(SDR:1.73‰),内視鏡医C:1例(SDR:0.95‰),内視鏡医D:2例(SDR:1.59‰),内視鏡医E:15例(SDR:5.95‰),内視鏡医G:1例(SDR:0.38‰),内視鏡医H:1例(SDR:0.29‰),内視鏡医Ⅰ:1例(SDR:1.39‰)と算出された.特に,内視鏡専門医資格を未取得(注:論文執筆時点には取得済)で内視鏡従事歴が5~10年の内視鏡医EのSDRが著しく高かった(Table 3).

SNADETsを発見した内視鏡医の内視鏡実施件数,SNADETs発見症例数及びSDRについて.
SDRの高い内視鏡医Eとそれ以外の内視鏡医が担当したSNADETs発見症例の臨床的評価項目を統計学的で比較検討を行った(Table 4).その結果,内視鏡医Eは,下十二指腸角~水平部に局在するSNADETsを有意に多く発見していた(p=0.001).一方,病変径や色調などの他の臨床的評価項目には有意差は指摘しなかった.なお,組織学的所見(異型度)には有意傾向は認めたものの(p=0.052),発生部位と組織学的所見のそれぞれの項目内で層別化される病変数が少なく,p<0.1の臨床的評価項目を対象とした多変量解析は行えなかった.

a:SDRの高い内視鏡医Eとそれ以外の内視鏡医によるSNADETs発見症例の臨床的評価項目の比較.
b:SDRの高い内視鏡医Eとそれ以外の内視鏡医の臨床的評価項目の比較.
SNADETs発見症例27例の胃粘膜萎縮の程度は,C-0:16例,C-1:1例,C-2:5例,C-3:2例,O-2:3例,Hp感染状況は未感染相当:16例,現感染:4例,既感染:7例であった.未感染相当のうちHp関連検査が行われた症例は7例で,その内訳は血清抗Hp抗体:6例,鏡検法:1例でありいずれも陰性と判定されていた.
本邦で過去に検討されたSNADETsの発見率は0.03~0.04%と報告されており,SNADETsは比較的稀な疾患と考えられていた 8),9).これらの検討の母集団には,一般病院での内視鏡診療の患者も解析対象としたもの,経時的にEGDを継続している重複例も対象としている可能性があるものも含まれており,本検討とは異なる母集団と推測される.このため,これらの検討での発見率との直接的な比較は必ずしも妥当とは言えないが,本検討で得られたSNADETsの発見率は既報より明らかに高く,近年の本邦でのSNADETsの発見率はやはり増加している可能性が示唆される.
SNADETsの発見率の増加の背景には,IEEを含めた内視鏡機器による病変検出能の向上やSNADETsに対する関心度の上昇に加え,SNADETs自体の有病率の増加などの関与が推測されているが,主たる要因は明らかではない.本検討ではSNADETsの発見率の年次推移に有意な上昇を認めた.その要因の1つには,2018年度から2019年度に,画角の制限や深部上部消化管への挿入性で経口内視鏡より十二指腸観察能が劣る経鼻内視鏡を使用していた影響はあるかもしれない.しかしながら,経鼻内視鏡によるEGDは,当該年度に3施設中1施設しか実施されておらず,経鼻内視鏡の使用を希望する一部の受検者にしか経鼻内視鏡を使用していない経緯があった.このため,使用した内視鏡機器の種類によるSNADETsの発見率の年次推移への影響はかなり限定的であると考えられる.一方で,2020年度から2022年度に特定の内視鏡医(内視鏡医E)が全SNADETs発見数28病変のうち15病変(=53.6%)を発見しており,この実態がSNADETsの発見率に強く影響しており,見かけ上SNADETsの発見率が上昇した可能性が高いと推測された.本検討で便宜的に定義したSDRに関しても,内視鏡医EはSNADETsを発見した内視鏡医の中でも著しく高く,内視鏡医によるSDRの相違が大きい事実は興味深い.内視鏡医によるSDRの相違は,近年のSNADETsの増加の要因を考察する上でも示唆的と考えられる.統計学的な解析で,SDRが高い内視鏡医Eには,他の内視鏡医より下十二指腸角から水平部のSNADETs発見症例が有意に多いという特徴を抽出したため,内視鏡医Eによる下十二指腸角から水平部のSNADETs発見症例11例の内視鏡画像を遡及的に検討した.11例のうち,直近5年間で当施設あるいは他施設でのEGD受検歴のある症例を8例に認め,そのうち当施設でEGD受検歴のある4例はいずれも水平部を含む十二指腸観察は行われていなかった.これら8例のSNADETsはいずれも腸型形質を伴う低異型度腺腫であり,比較的緩徐な増大を示す腫瘍の性質を鑑みると,当時のEGD受検時から当該のSNADETsが下十二指腸角から水平部に存在していた可能性が高いと考えられた.一方で,過去の内視鏡的切除術(endoscopic resection:ER)を行ったSNADETsの国内18施設3,107症例の遡及的検討では,ERを行ったSNADETsの13.3%(=412例/3,107例)(下十二指腸角:226例,水平部:186例)が下十二指腸角から水平部に局在していたことを報告している 10).本検討での同部位でのSNADETs発見症例の比率は42.9%(=12例/28例)であり,既報と比べ高いことが推察されるが,既報の母集団は,表在性非乳頭部十二指腸癌が36.6%(=1,138例/ 3,107例)(粘膜内癌:1,094例,粘膜下層浸潤癌:44例)を占め,病変の平均径は13.9mmと大きく,検診受検者を対象とする本検討の母集団とは明らかに異なる.このため,対象症例の選択バイアスが,両母集団における下十二指腸角から水平部のSNADETs発見症例の比率に相違をもたらせていると考えられた.職域検診あるいは人間ドック・任意型検診のEGDでは,必ずしも水平部を観察範囲に含める必要はないとされるが,近年,十二指腸粘膜の環境変化に伴う十二指腸の疾病構造の変化から,潜在するSNADETsの発見目的を含め,深部十二指腸観察の意義が指摘されている 11),12).EGDに伴う肉体的・精神的苦痛などの受検者の負担や過剰診断のリスクには十分に配慮すべきではあるが,挿入可能な範囲で水平部までの丹念な十二指腸観察を行うことでSNADETsの発見率が向上する可能性が推察される 13).
一方,Hp未感染の非萎縮胃粘膜を有する症例にSNADETsが発生しやすいとする報告があるため,本検討でのSNADETs発見症例のHp未感染相当症例の比率と同年代の一般的な日本人の推定Hp未感染率を比較した 14).本邦の年代別のHp有病率に関するInoueらの報告によれば,本検討のSNADETs発見症例27例(検討期間の中央値:2020年,平均年齢:55歳)の平均生誕年である1965年に生誕した一般人口の推定Hp未感染率は約75%と推計される.本検討のSNADETs発見症例27例のうちHp未感染相当症例の比率は59.3%(=16例)であり,Inoueらが提示する同年代の推定Hp未感染率よりも低く,SNADETsの罹患者は必ずしもHp未感染率が高い訳ではない可能性が示唆された 15).
本検討の制約に関して,まず,本検討は限られた施設での後方視的な検討である.内視鏡マネジメントシステム上のファイリング記録やカルテ記載を遡及的に検討しても把握できない臨床情報が存在しており,検討で得られた結果の解釈に制限が生じている.次に,本検討で得られたSNADETsの発見率は,内視鏡の観察範囲が各内視鏡医の判断に委ねられており,固定した観察法に基づいて算出された訳ではないため,本来的な本邦全体での検診受診者のSNADETsの発見率として一般化することはできない.こうした制約を鑑みると,本邦での一般的な検診受診者のSNADETsの発見率を算出するには,内視鏡観察法を含む固定された内視鏡実施条件下での前方視的な検討が望ましいと考えられた.
EGD検診でのSNADETsの発見率は0.21%と既報より高く,下十二指腸角~水平部までの丹念な十二指腸の内視鏡観察はSNADETsの発見率を向上させることが示唆された.
なお,本論文は,第30回日本消化器病関連学会週間(2022年,福岡)で報告した内容と要旨を加筆修正したものである.
謝 辞
本論文の作成にあたり,北陸予防医学協会 永田義毅先生,山上孝司先生,丸岡秀範先生,愛場信康先生には貴重な御意見を賜り感謝の意を表します.
本論文内容に関連する著者の利益相反:なし