日本消化器内視鏡学会雑誌
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アカラシア(Ⅰ型・Ⅱ型)に対するバルーン拡張術とPOEMの長期成績:傾向スコア分析
秋山 純一
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2025 年 67 巻 5 号 p. 1123

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抄録

【背景】アカラシア(Ⅰ型・Ⅱ型)に対する経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)は,バルーン拡張術(pneumatic balloon dilation:PBD)と比べて,2年間では高い治療効果が確認されている.しかしながら,5年以上の長期にわたる治療効果の持続性については明確ではない.本研究ではPBDとPOEMの長期の治療成績について評価した.

【方法】この研究では,初回治療としてPBDまたはPOEMが施行されたアカラシア患者を後方視的に比較検討した.年齢,性別,Eckardtスコア,チャールソン併存疾患指数により算出された傾向スコアにより2群をマッチさせた.主要評価項目は追加治療までの時間とし,副次的評価項目は治療不成功,Eckardtスコア,治療セッション数,体重増加,有害事象とした.

【結果】127名中,67名でPBD,60名でPOEMが施行され,平均観察期間は7年(四分位範囲 5-10年)であった.傾向スコアマッチングにより1対1マッチングを行った100名の患者について解析が行われた.患者背景(臨床的,内視鏡的,内圧検査変数など)は両群間で同等であった.POEM群はPBD群に比べて,追加治療までの時間が有意に長く(ハザード比0.139(95%CI,0.048-0.405),p<0.001),最初2年間の内視鏡回数は少なかった(p<0.001,linear marginal model analysis).2年超では,追加治療は両群間で同等であった.Eckardtスコア,体重増加に相違はなかった.在院期間はPBD群で短く(2 vs 4日,p<0.001),POEM群では穿孔を含む有害事象が多かった.

【結語】POEMはPBDに比べて長期の治療効果の持続性の点で優れていたが,PBDは在院期間が短く,有害事象も少なかった.

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