2025 年 67 巻 7 号 p. 1292-1299
小腸出血診療においてカプセル内視鏡は重要であり,小腸内視鏡診療ガイドラインの診断アルゴリズムでも中心的役割として記載されている.しかし従来のカプセル内視鏡にはその特性上見逃しが多い部位が存在することや,電波干渉の懸念によりペースメーカーや植込み型除細動器を使用している患者には使用できないこと,導入に対するコストの懸念などのいくつかの解決すべき問題が残されていた.一方で2011年に4基のカメラにより360°パノラマ撮影が可能なカプセル内視鏡が報告されており,2021年より長瀬産業からCapsoCam PlusⓇとして発売され本邦でも使用が可能になった.特徴として側視型カメラによる見落としの軽減や,カプセル本体にデータが保存されることにより電波干渉がないこと,導入コストが医療機器としては安いことなどが挙げられ従来の懸念点を解消しえるデバイスである.しかしその運用としてカプセル本体の回収が必ず必要であることなど,導入にあたり知っておくべき知識や運用の要点,小腸出血での使い所があり本稿で解説する.