2026 年 68 巻 4 号 p. 296-307
早期胃癌に対する内視鏡切除は,2000年代初頭のESD登場以降,技術の革新と熟練により大きく進歩し,その適応も段階的に拡大してきた.JCOG0607,JCOG1009/1010,J-WEB/EGCなどの前向き多施設研究によりエビデンスが蓄積され,切除後の再発リスク評価に関してもeCura systemが広く普及した.一方で,胃癌患者の高齢化が進む現代においては,より多くの患者が内視鏡治療の低侵襲性の恩恵を受けられるよう,高齢者における適応や治癒基準を再評価する必要がある.さらに,病変側の因子(転移リスク)に加え,患者側の因子(身体・認知機能,本人・家族の価値観),治療の費用対効果などを統合的に考慮し,個別化医療に基づく新たな治療選択基準を構築することが今後の課題である.