2026 年 68 巻 4 号 p. 315-320
肛門管癌は比較的稀であり,進行癌で発見されることが多い.今回扁平上皮に囲まれた早期肛門管腺癌の症例を経験した.症例は59歳,男性.大腸内視鏡検査で肛門管に連続する20mm大の発赤調0-Ⅱa+Ⅰs型病変を認め,全周が扁平上皮に囲まれていた.発赤隆起部に不整な腺管構造,異型血管を認め,肛門管腺癌と診断した.明らかな粘膜下層深部浸潤を疑う所見は乏しくESDを行った.組織学的には高分化管状腺癌で,免疫組織化学的にCK7(+),CK20(+),CDX2(+)となり肛門管腺癌(直腸型)と診断した.腫瘍の全周が扁平上皮に囲まれていたため,内視鏡診断に難渋したが,組織学的・免疫組織学的に発生の由来を推察することで,適切な治療法を選択し得た.