2026 年 68 巻 8 号 p. 1439-1449
【緒言】画像診断上,5mm以上に拡張した主膵管を有する膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)は,混合型IPMN(mixed-type IPMN:MX-IPMN)と定義されている.しかし,MX-IPMNにおいて実際に主膵管内に腫瘍浸潤を認める頻度は明らかではない.本研究の目的は,MX-IPMNにおいて病理学的に主膵管内へ腫瘍が浸潤している頻度を明らかにするとともに,経口膵管鏡検査(peroral pancreatoscopy:POPS)による病変の主膵管内進展診断の有用性を検討することである.
【対象・方法】2018年7月から2021年12月までに,画像診断上MX-IPMNと診断され,POPS施行後に外科的切除を受けた症例を対象とした後ろ向きコホート研究を行った.切除標本に基づき,腫瘍の主膵管内進展を含む病理学的特徴を解析した.さらに,腫瘍の主膵管内進展検出におけるPOPS,CT,MRI,EUSの診断性能を比較検討した.
【結果】対象15例中10例(67%)で,病理学的に腫瘍の主膵管内進展が確認された.主膵管内進展を認めた症例の多くでは,原発病変は高度異形成(60%)または浸潤癌(10%)であった.一方,主膵管内進展を認めなかった症例では,主病変は低度異形成が大半を占めていた(軽度異形成80%,高度異形成20%,浸潤癌0%).生検施行の有無にかかわらず,POPSの診断精度,感度,特異度はそれぞれ93.3%,90.0%,100%であった.POPSはCT,磁気共鳴胆管膵管造影(magnetic resonance cholangiopancreatography:MRCP),EUSと比較して,より高い診断精度および感度を示した(診断精度:93.3%,40%,60%,80%;感度:93.3%,10%,40%,70%).
【結論】画像診断上MX-IPMNと診断された症例の約3分の2において,病理学的に腫瘍の主膵管内進展が確認された.腫瘍の主膵管内進展は悪性を強く示唆する所見であり,POPSは主膵管内進展の評価に有用な診断手段となる可能性が示された.