2026 年 68 巻 8 号 p. 1491
【背景】デンマークでは,大腸憩室炎発症後に悪性疾患を除外する目的で退院後の大腸内視鏡検査が標準的に行われている.一方,大腸カプセル内視鏡(colon capsule endoscopy:CCE)は低侵襲な代替検査として注目されている.本研究は,大腸憩室炎後のフォローアップ検査としてCCEと通常大腸内視鏡検査を比較し,患者報告アウトカム(patient-reported outcomes)を評価した.
【方法】オーデンセ大学病院において,CTで大腸憩室炎と診断された患者を対象とした無作為化比較試験を実施した.患者を退院4~6週後にCCE群または大腸内視鏡群へ無作為に割り付けた.主要評価項目は検査に伴う患者自身の身体的・精神的不快感とした.副次評価項目は検査前に予想した不快感,将来の検査選好,検査完遂率,およびポリープ・大腸癌の検出率であった.
【結果】159例が無作為化され,148例が割り付けられた検査を受けた.アンケート回収可能は83例であった.背景因子は両群で概ね均衡しており,検査関連有害事象は認めなかった.患者は検査前には大腸内視鏡に対してより強い身体的・精神的負担を予想していたが,実際に経験した不快感には両群間で有意差を認めなかった.将来再度検査を受ける場合の希望としては,CCEが49%,大腸内視鏡が13%,判断保留が38%であった.検査完遂率はCCE 84%,大腸内視鏡92%であった.両群とも悪性腫瘍は検出されなかった.
【結語】大腸憩室炎後のフォローアップ検査としてCCEは安全に実施可能であった.実際に経験した不快感は大腸内視鏡と同等であったものの,患者の将来的な検査選好はCCEに傾いていた.検査完遂率の改善は課題として残るが,CCEは患者受容性に優れた低侵襲な代替手段として,憩室炎後フォローアップ戦略の新たな選択肢となる可能性が示された.