2026 年 68 巻 9 号 p. 1536-1543
症例は76歳,女性.多系統萎縮症による嚥下障害のため,PEGが施行された.Introducer原法で造設され,トロカール針を穿刺する際に針先が胃後壁に達してしまった.術直後よりショック状態となり,緊急CTにて後腹膜血腫,腹部大動脈からの造影剤漏出を認めた.緊急腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR:Endovascular Aortic Repair)により止血は成功,患者は救命された.腹部大動脈損傷はPEGの最重症の偶発症として認識しておくべき病態と考える.PEGの際には,胃前面のみならず背面の臓器にも十分に留意すべきである.術前画像などを参考に,個々の症例のリスクに応じた造設法の選択が重要であると考えられた.