2026 年 68 巻 9 号 p. 1563-1577
膵疾患診断におけるEUSは,空間分解能に優れ,有用な画像診断法である.しかし,通常観察での腫瘤性病変の診断は術者の主観や経験に大きく依存する.本稿では,診断能向上のための客観的評価法として,超音波造影剤を用いた造影EUSとエラストグラフィについて解説する.造影EUSでは,第2世代の超音波造影剤SonazoidⓇを用い,特定の音圧域でマイクロバブルを共振させることで血流を評価する.膵疾患における造影EUSの役割は,(1)血流の有無による存在診断と(2)血流の量や分布による鑑別診断に大別される.具体的応用としては,膵管内乳頭粘液産生腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm:IPMN)における腫瘍結節と粘液塊の鑑別,通常観察で認識困難な膵癌の検出,転移性肝腫瘍の診断などが挙げられる.また,膵腫瘍の鑑別診断では,造影パターン(膵癌:hypo-enhancement,腫瘤形成性膵炎:iso-enhancement,神経内分泌腫瘍:hyper-enhancement)が有用である.さらに,EUS-FNAやインターベンションにおいても血流評価により診断能,安全性が向上する.エラストグラフィは組織弾性を非侵襲的に測定する技術で,Strain elastography(SE)とShear wave elastography(SWE)の2種類がある.SEは圧迫によるひずみから硬度を評価し,膵腫瘍の良悪性診断や膵液瘻の予測に有用である.一方,SWEはせん断波速度から硬度を絶対値で測定でき,慢性膵炎や自己免疫性膵炎の診断に優れている.これらの画像強調法は,膵疾患の診断精度向上において相補的な役割を果たしており,臨床現場での適切な使い分けが重要である.