2026 年 68 巻 9 号 p. 1578-1586
【背景・目的】Sessile serrated lesion(SSL:鋸歯状病変)は大腸癌への進展リスクを有するため,内視鏡切除が推奨されている.しかし,従来のEMRでは10-20mmのSSLに対して完全切除が達成されない症例が少なくない.一方,近年underwater EMR(UEMR:浸水下内視鏡的粘膜切除術)が大腸ポリープに対する切除法として広く普及してきているが,SSLに対する有用性についてはまだ十分な検討がなされていない.そこで本研究では,10-20mmのSSLに対するUEMRの完全切除率を前向きに検証した.
【方法】本研究は2施設による前向き単群観察研究である.内視鏡的に10-20mmと診断されたSSLに対してUEMRを施行し,切除検体の病理学的評価を行った.また,切除後に創部辺縁4点より生検を行い,遺残の有無を評価した.局所再発の評価として1年後にフォローアップ大腸内視鏡検査を実施した.主要評価項目は完全切除率とし,生検にて鋸歯状病変の遺残を認めないこととした.副次評価項目としてR0切除率,一括切除率,再発率,偶発症および手技困難に関連する因子とした.
【結果】103症例133病変のうち27例30病変が除外され,最終的に76症例103病変が登録された.切除後病変径の中央値は12(8-23)mm,R0切除率は61%,一括切除率は91%であった.完全切除率は97%(95%信頼区間:91.8-99.0%)であった.フォローアップ大腸内視鏡検査は87病変に対して行われ,いずれの症例においても再発は認められなかった.偶発症は遅発性出血を1例(1%)に認めたのみであった.スネアの固定困難が分割切除に有意に関連する因子として抽出された.
【結論】10-20mmのSSLに対するUEMRの完全切除率は良好であり,UEMRは本病変に対する標準治療の1つになりうることが示唆された.