抄録
限局性病変である肝癌の診断における腹腔鏡検査の有用性とその限界を検討した.対象症例は,肝癌を疑い腹腔鏡検査および血管造影,肝シソチグラム,血液生化学検査などを行った症例で,死後の剖検または肝切除術により再び肝臓を検討することができた13症例について検索を行った.腹腔鏡下に肝癌を視診できたものは6例.肝癌と診断されたが,視診できなかったもの2例.腹腔鏡を含む臨床検査にて肝癌を診断できなかったが,6ヵ月から12カ月後に肝癌の発生をみたもの3例.残りの2例は肝硬変症のみであった.また,腹腔鏡による視診範囲を摘出肝より測定した結果,肝前面の平面投写図からは,肝右葉約24%,肝左葉約62%であり,大まかな照診範囲を得ることができた.また照診困難な部分も明らかにされ,この部に対し照診範囲を広げるための試みも行った.