日本消化器内視鏡学会雑誌
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慢性膵炎におけるERCPの診断能
― Pancreozymin Secretin試験と対比して―
國崎 忠彦今村 賢一郎占部 一喜沢田 征洋藤見 是佐々木 英里見 隆彦江村 武志谷川 久一
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1979 年 21 巻 4 号 p. 419-429

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抄録
 慢性膵炎90例を日本膵臓病研究会診断基準案にもとづき,確診群54例,疑診群136例に分けた.膵の形態と機能を対比するために,内視鏡的膵胆管造影(E.R.C.P.)とPancreozymin-Secretin試験(P-S試験)を行った.E.R.C.P.所見とP-S試験の間の相関を求めるためP-S試験をscoreを与える判定法(0~9)を用いて,E.R.C.P.のgrade(0-3)と対比した.両者の間には相関係数γ=0.72,p<0.001で有意の相関が成り立ち,確診群54例中47例はP-S試験異常があり,E.R.C.P.像はすべて異常を示した.しかしながらE.R.C.P.所見とP-S試験に解離を示すものが9例あり,4例は胆道疾患(胆石症を含む)によるもので,膵管の変化に比しP-S試験の異常がなく,1例はP-S試験で異常があったがE.R.C.P.で異常を証明できずその原因が不明であった.残りの4例は膵石例で,膵管像は結石を伴いその変化は高度であったがP-S試験は正常か軽度の異常を示すのみで,結石の占居部位が主膵管内に散在性にあるか,膵体尾部に限局しているために形態と機能に解離をみたものと考えられた.形態と機能の不一致例を少なくするためには,膵管像を微細膵管まで充分に造影でき,P-S試験の手技上の安定化が完全に確立されれば可能なものとなろう.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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