抄録
色素内視鏡検査の安全性を確立する目的で,メチレンブルー(MB)の急性毒性実験を行った.文献的には,硬膜内注入時の神経毒性以外は著しい傾作用はなく,また,経口投与は安全と考えられるものである. 今回の実験は,MBの肝腎に対する影響を検討する目的でおこなった.すなわち150gウィスター系ラットを用いて,それぞれにMB 10mg/kg,50mg/kg,100mg/kg,を腹腔内または経口投与した.24時間後に,GPT,ALP,総ビリルビンを測定し,肝,腎の組織変化を光顕的に観察した.その結果,大量投与群を中心に,GPTの軽微な上昇,肝細胞巣状壊死,軽度の糸球体核増多や尿細管上皮変性をみとめた. 結論として,MB大量経口投与時の肝腎障害発生の可能性を示唆するものと考えた.