抄録
食道が円柱上皮でおおわれたいわゆるBarrett上皮の2症例を経験した.症例1は,80歳の女性でX線検査にて中部食道下部に狭窄があり,軽度の食道裂孔ヘルニァを合併していた.内視鏡的には,狭窄部直下に,白色調を示す重層扁平上皮と赤色調を示す円柱上皮からなる複雑な形態をした粘膜接合部を認めた.この接合部からヘルニア嚢直上までが,円柱上皮でおわれた食道であった.その直視下生検では,goblet cellをともなう円柱上皮がみられ,その一部には島状の重層扁平上皮も認められた. 症例2は,55歳の男性で食道胃全摘出術後に,ビラン潰瘍型の逆流性食道炎をきたした症例であり,ビランの辺縁より小腸粘膜類似の円柱上皮が生検でえられた. 症例1,2とも程度の差はあれ,逆流性食道炎が存在しており,今後さらに経過観察をつづけることにより,円柱上皮でおおわれた食道の成因に関して後天性説をうらづけるものとなるであろう.