抄録
内視鏡的膵実質造影法を施行した369症例について,本法の描出能,描出パターン,偶発症の有無について検討した.その結果,非イオン性のHCO系界面活性剤を含有するMenaquinone-4の添加により,鮮明な膵実質像の描出能が有意に高くなることを確認した.また併存する慢性膵炎は膵実質像の描出能に大きく関与し,高度の慢性膵炎を伴う場合には,鮮明な膵実質像の出現頻度は著しく低下した. 造影剤としてAngiografinを用いた我々の方法では,大部分の例で膵実質像は均一な実質陰影に細分枝膵管を混在するパターンを示し,微細病変の診断に適していた.全例に重篤な偶発症の発現を認めず,検査後の一過性の高アミラーゼ血症も本法施行例では速やかに正常値に復した.