日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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上部消化管出血の臨床的検討(第1報)
―上部消化管出血の臨床と緊急内視鏡検査の意義を中心として―
綿引 元中野 哲北村 公男武田 功井本 正巳小沢 洋熊田 卓
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1979 年 21 巻 9 号 p. 1058-1065

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抄録
 われわれは,地域医療を担う第一線病院として救急医療体制を確立し,その中に緊急内視鏡検査も位置づけている.今回,救急医療の立場から上部消化管出血について臨床的検討を加えた.症例は過去5年間に救急外来を受診し入院した425例で,そのうち198例に緊急内視鏡検査を施行し,さらに早期内視鏡検査.早期X線検査等を行い,96.2%に出血源の確認ができた.なお,緊急内視鏡検査の正診率は94.9%であった. 上部消化管出血の外科的治療は,28.9%に行い,その半数に緊急手術が行われた.なお,緊急手術例の約90%は胃潰瘍であった.死亡率は,5.9%であり,特に消化性潰瘍にかぎると.わずか0.3%にすぎなかった. このように緊急内視鏡検査を中心とした積極的な出血源の探索は,上部消化管出血に対する早期手術等の適切な治療方針の決定に役立つものである.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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