抄録
Vascular spiderはpalmar erythemaとともに肝硬変と最も相関の高い徴候の1つであり,出現する部位は上大静脈流域の前胸部,頸部,肩甲部の皮膚に好発し,上肢,背部,顔面にもしばしば認められ,稀れに鼻腔,口腔,咽頭部などの粘膜にも認められ,上半身に限って発生するとする考えが大半である.しかし,直腸粘膜にもかなりの頻度で,皮膚にみられるvascular spiderに酷似した毛細血管拡張所見が存在することを認めた.これをrectal vascular spiderと呼び,肝硬変28例,肝線維症を伴ったCRST症候群1例,慢性肝炎7例の直腸粘膜を観察した.その結果,肝硬変28例中9例の32.1%にrectal vascular spiderの存在を確認した.大きさは約1.5mm~2.0mmで,拡大内視鏡(FCS-MLII,MACHIDA)でその形態を詳しく観察した.型状ではspider typeとnon-spider typeに分けることができた.これらは皮膚にみられるvascular spiderとはほぼ平行して認められるようであったが,palmar erythema, hepatomaとの関係においては特に関連性は認められなかった.また尿中エストロゼン値との関係も有意でなかった. Rectal vascular spiderが大量出血の原因とは考えられず,臨床的意義はこれから解明されるであろう.