抄録
消化器病センターにおいて,過去10年間に潰瘍性大腸炎と診断した116例中,家族内発生が3家系,6人,約2.6%にみられた.3組とも同居中の母子あるいは父子に,2~5年の間隔で発症している.血族結婚はみられなかった.2組では病変部は全大腸に及んでいた. 全症例に家族調査を行い,107名中,65名,約60%に回答を得た.家族に潰瘍性大腸炎の確診例は得られなかったが,原因不明の粘血便症状を4名の家族,6.1%にみられた. 家族内発生のみられた第1組について,HLAタイピングを行った.遺伝因子の関与に関して,HLA抗原系からの研究も重要である.