日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)による膵胆道系腫瘍の診断
―ERCPと選択的腹腔動脈撮影(SAG)の併用の意義―(第一報)膵腫瘍の診断について
西村 幸隆渡辺 幹雄鈴木 敝
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1980 年 22 巻 1 号 p. 1-21

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抄録
 膵腫瘍の診断におけるERCPとSAGの特徴と,両者の併用の有用性につき膵癌42例を中心に48例の膵腫瘍について検討した. 1) 膵癌の診断率はERCP93%,SAG65%とERCPの方がややよかった. 2) 存在診断の面からみると主膵管を中心に膵内中心部はERCPの方が診断能が高く,膵周辺部はSAGの方が診断能が高い.両者の併用により膵のほぼ全域がカバーできる. 3) 腫瘍の大きさ,浸潤の仕方等の質的診断はSAGの方がERCPよりすぐれているが,ERCPでは胃十二指腸,膵胆管の形態がわかるので手術の際の再建術等に必要な情報が得られる.SAGでは切除可能性の判断も可能である. 以上のことから膵腫瘍の診断においては存在診断からも質的診断からもERCPとSAGの併用は必須で有用な検査法である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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