日本消化器内視鏡学会雑誌
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慢性膵炎における膵管造影像の診断的意義に関する実験的研究
牧野 博
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1980 年 22 巻 1 号 p. 22-35

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抄録
Freund's complete adjuvantを膵に直接注射する方法を用い,犬に膵傷害を起こしたところ,ヒトの慢性膵炎に似た病変が起こることを確認した.この実験的慢性膵炎犬を用い,膵管造影像を膵外分泌機能および組織所見と詳細に対比検討した成績より,慢性膵炎の膵管造影像の読影に関し検討を加え以下の結論を得た.(1)膵管像にて高度な異常所見がみられる場合は,局所的な最大所見だけから判断しても誤ることは少ないが,高度な異常所見の認められない場合には総合所見判定により診断すべきである.(2)一般に膵管拡張は所見として取り上げられ易いが,単なる拡張は他の所見に比して,組織像や膵機能であまり変化がない場合にも多くみられ,他の所見程重視しなくてよいと考えられる.(3)臨床的に乏分枝は所見として取り上げにくいが,この所見は線維化の程度と相関性が高く,機能的にも高度な異常がある場合が多いことより,微細膵管まで安定して造影できる方法を確立し,積極的に読影すべきである.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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