日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的乳頭切開術の基礎的研究
井内 広重
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1980 年 22 巻 12 号 p. 1715-1725

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抄録

 内視鏡的乳頭切開術の基礎的研究として,膵胆道系に著変のない新鮮剖検材料72例を用いて,十二指腸乳頭を解剖学的に検索した.乳頭縦ヒダは内視鏡的乳頭切開術実施の際,切開長の指標となると考え,乳頭開口部と縦ヒダに特に注目した.乳頭開口部から縦ヒダの口側末端までをoral protrusion(口側隆起)として検討し,以下の結果を得た. 1)壁内胆管長は平均12.2mmで,口側隆起の長さ,高さ,幅とは正の相関を示し,総胆管入射角とは負の相関を示した. 2)十二指腸粘膜における切開可能長は,乳頭開口部より,平均10.4mmで,口側隆起の上端より2.6mm口側寄りであった. 3)乳頭に分布する動脈は,縦ヒダに分布する枝と,frenulumに分布する枝が太い.乳頭口側の縦ヒダに分布する動脈は,総胆管の十二指腸壁内進入部位から十二指腸内へ進入する.

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