日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃の隆起型異型上皮の高周波スネアによる摘除
―SNARE WIRE法の意義と限界―
岡田 利邦西沢 護
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1980 年 22 巻 12 号 p. 1726-1734_1

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抄録

生検でGroup IIと診断された扁平な外観を呈する胃の隆起型異型上皮11症例を高周波SNARE WIRE法で摘除した.出血,穿孔のリスクなく,安全かつ有効に摘除が可能であった.うち2例は,摘除後分化型癌と診断された.長径18mmまでは`とり残し'なく摘除が可能であった.長径20mm前後の病変に対しても,two stepあるいはpiece mealで可能と考えられる証左を得た.この知見を,(1)異型上皮の大きさ(増殖力)と異型度との関連,(2)異型上皮の癌化率の問題,(3)IIa型早期胃癌のfalse negativeの問題,(4)2cmを境としたIIa型早期胃癌のsmへの浸潤率の問題,(5)隆起型早期胃癌の浸潤の深さとリンパ節転移,肝転移の問題,(6)生率の改善に関与する隆起型早期胃癌の早期処置の重要性,などの多面的な観点から分析し,異型上皮の処置に関する基本的Policyを展開した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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