日本消化器内視鏡学会雑誌
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『内視鏡的コンゴーレッド・テストによる胃酸分泌機序に関する研究』
谷 礼夫三輪 正彦原沢 茂鈴木 荘太郎野見山 哲渡辺 浩之瀬上 一誠菊地 一博三輪 剛
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1980 年 22 巻 12 号 p. 1737-1742_1

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抄録

 雑種成犬6頭を用い,tetragastrin単独刺激(4μg/Kgi.m.)の場合と,酸分泌抑制剤((1)H2-receptor antagonistであるcimetidine6mg/kgiv.,(2)antigastrinicとされているproglumide120mg/kgi.v.,(8)secretin6U/kgim.)の投与を添加した場合の内視鏡的コンコーレッド・テストを行ない,変色の速さ,変色域の分布状況等を,通常内視鏡のみならず,拡大内視鏡およびシネカメラを用いて経時的に観察を行なった.ci-metidiheにより体部腺領域の変色は著明に抑制され,もし壁細胞に複数のreceptorが存在するとすれば,H2-receptor antagonistによりgastrinのrereptorも抑制を受けることが推論された.proglumide, secretinでもcimetidineの場合ほどではなかったが変色の抑制が観察された.抑制の程度に部位的差がみられ,また拡大観察を行なうとgastric pitによっても抑制の程度に差が認められた.このことより壁細胞の分布密度ないしsensi-tivityに不均等性のあることが示唆された.

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