抄録
雑種成犬6頭を用い,tetragastrin単独刺激(4μg/Kgi.m.)の場合と,酸分泌抑制剤((1)H2-receptor antagonistであるcimetidine6mg/kgiv.,(2)antigastrinicとされているproglumide120mg/kgi.v.,(8)secretin6U/kgim.)の投与を添加した場合の内視鏡的コンコーレッド・テストを行ない,変色の速さ,変色域の分布状況等を,通常内視鏡のみならず,拡大内視鏡およびシネカメラを用いて経時的に観察を行なった.ci-metidiheにより体部腺領域の変色は著明に抑制され,もし壁細胞に複数のreceptorが存在するとすれば,H2-receptor antagonistによりgastrinのrereptorも抑制を受けることが推論された.proglumide, secretinでもcimetidineの場合ほどではなかったが変色の抑制が観察された.抑制の程度に部位的差がみられ,また拡大観察を行なうとgastric pitによっても抑制の程度に差が認められた.このことより壁細胞の分布密度ないしsensi-tivityに不均等性のあることが示唆された.