日本消化器内視鏡学会雑誌
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レーザー光の消化管粘膜に及ぼす影響
第2報:胃粘膜変化の組織学的検討
鈴木 荘太郎菊地 一博瀬上 一誠渡辺 浩之野見山 哲三輪 正彦原沢 茂谷 礼夫三輪 剛
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1980 年 22 巻 12 号 p. 1743-1751

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抄録

 著者らは高周波通電を対照として,YAGレーザー光による胃粘膜変化を実験的に検討した.高周波通電の条件はPSD(Olympus)の凝固波と切開波を用い,低出力(3),中等度出力(5),高出力(7)にて1秒間通電した.YAGレーザー照射は出力30~70wまで10w間隔で,各々1.0~4.0秒までで,導光ファイバー先端と粘膜表面の距離を2.0cmと一定とするために胃切開下に施行した.組織学的検索はHE染色およびアザン染色,E.V.G染色を用いた.高周波通電で凝固波,切開波ともに通電部位の上皮が剥脱し粘膜下層への影響は出力に比例せず,出力(5)により胃壁の穿通を来たした.YAGレーザーによる粘膜変化は極めて限局し,出力に比例して深く達した.粘膜下層の膠原線維の変性と,これに伴う小血管の内腔狭小化がみられ,局所の血流を減少させていることが示唆された.高周波により,レーザー照射と同等の組織変化がみられたが,条件をcon-trolすることは困難であった.

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