1980 年 22 巻 12 号 p. 1761-1769
小腸病変の内視鏡像を明らかにするため,小腸内視鏡SIF-B型を用いて52症例の空腸をpush方式で検討した.対象症例は,小腸肉腫3例,小腸ポリープ3例,原発性または続発性免疫不全症10例,蛋白漏出性胃腸症8例,コレラ症8例,その他症例20例であった.Treitz靱帯をこえた空腸への挿入率は93%で,粗大病変は,空回腸にわたる細網肉腫1例,分類不能の空腸肉腫1例,十二指腸第III~IV部の平滑筋肉腫1例,小腸ポリープ3例,空腸リンパ濾胞増殖症3例,a-chain病1例の計10例にみられた.空腸などの散布性白点や白色絨毛は蛋白漏出性胃腸症8例とその他疾患5例に認めた.コレラ症では,びらん・発赤・浮腫・過分泌像などがみられた.