吉本の開発した膵実質造影法に準じて膵実質を描出し,通常のERCP症例の膵実質描出率と比較検討した.その結果,膵実質造影法による膵実質描出率は通常のERCP症例に比較して明らかに上昇したが,従来の報告ほど高い描出率をえることはできなかった.また,膵実質像による膵疾患診断能をみるために膵実質造影法の施行有無にかかわらず膵実質を描出しえた症例49例を対象として検討した結果,膵実質像のみからでは膵癌,膵のう胞腺癌などの悪性疾患と狭窄型あるいは閉塞型慢性膵炎や膵体部欠損症などの良性疾患との鑑別に困難をきたすことがあり,それらの症例を提示して膵実質造影の今後の問題点をいくつか指摘した.