日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸ファイバースコープの硬さに関する検討
多田 正大西村 伸治鹿嶽 研川井 啓市
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1980 年 22 巻 12 号 p. 1777-1781

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抄録

 大腸内視鏡検査時の被験者の苦痛を少くする目的で,大腸ファイバースコープ(CF)の機種上の改良が試みられている.今回著者らはCFの軟性部の硬さの検査におよぼす影響について検討した.すなわち硬さの異なる3器種のCF(CF-H;硬いスコープ,CF-M;標準的な硬さのスコープ,CF-S;柔軟なスコープ)を用いて,各々40例,計120例に対して検査を行った. 挿入率,挿入時間をみるとCF-Mが最もよい成績であった.しかし脾彎曲より回盲部までの挿入には硬いCF-Hを用いた方が容易であった.検査時の被験者の苦痛もCF-Mが最も少なかった.以上の検討より,標準的な硬さのCF-Mが最も良好なCFであったが,脾彎曲部より深部大腸への挿入を容易にするためにはCF-Hのような硬いCFがよいと考えられた.したがって検査の途中で自在にCFの硬さを調節できるような機構のCFの開発が望まれる.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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