抄録
十二指腸潰瘍,および正常十二指腸粘膜よりの内視鏡直視下狙撃生検検体にalkaline phosphatase(以下ALPと略す)およびleucine aminopeptidase(以下LAPと略す)の酵素染色を行い,その組織化学的所見の推移と十二指腸潰瘍の治癒傾向および再発傾向との関連について検討した.この結果,難治性や易再発性につながる所見として,(1)再生上皮の酵素活性の回復の遅延,(2)粘膜下の線維性結合組織のALP活性の増強,粘膜下の円形細胞浸潤部のALP活性の増強が観察された.また治癒促進につながる所見として,(1)再生上皮の酵素活性の回復,(2)間質の円形細胞浸潤部の灘漫性のLAP活性の出現が観察された.内視鏡観察と直視下生検検体を用いる酵素組織学的検索の併用は,十二指腸潰揚の治癒傾向,および再発傾向を知り得る有用な方法と考えられた.