抄録
著者は実験的大腸隆起性病変を発癌物質MNNGを用いてラットと家兎に生じせしめ,経時的内視鏡観察を行い,良悪性の鑑別と隆起性病変の動態について研究した.家兎では実験に供するに十分な隆起性病変は生じなかったが,ラットでは30週間十分に観察しえた79匹中61匹に175病変生じ,腺癌20病変,腺癌疑7病変,腺腫107病変,その他41病変であった.各組織型について,発赤・びらん・出血・表面の凹凸不整等の内視鏡所見を検討したが有意の差はなく,病変が大きくなるにつれそのような表面性状が多彩になる傾向にあった.しかし,大きい病変に悪性の率が高い傾向にあった.走査電子顕微鏡による検討も少数例に行ったが,それによると腺腫と腺癌の間に腺口や表面構造の明らかな差があった.隆起性病変は時間の経過とともに増大し,無茎性から有茎性へと変化し,更には自然脱落する例も少なくないことがわかった.