抄録
腹腔鏡検査において,肉眼的に悪性病変との鑑別が困難で,肝生検によって診断を確定した肝血管腫の1症例を経験した.症例は59歳女性で臨床的に肝硬変と診断され,肝scintigram上の陰影欠損像,腹腔動脈造影上の異常濃染像,AFP陽性などの所見より肝悪性腫瘍の疑いが濃厚であった.腹腔鏡検査において両肝葉に小腫瘤が発見され,左葉表面の腫瘤はその肉眼的所見より容易に血管腫と診断したが,右葉外側の小腫瘤は肉眼的に悪性病変を否定できなかった.腫瘤の手前側より針生検を実施し,組織学的に血管腫であることを確定した.腹腔鏡直視下生検の有用性と,その際の止血法について考察を加えた.