日本消化器内視鏡学会雑誌
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最近経験したOsler病の一例
―レーザーコアグレーターによる止血対策を含めて―
原田 一道水島 和雄小野 稔柴田 好岡村 毅与志並木 正義葛西 真一水戸 廸郎
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1980 年 22 巻 3 号 p. 400-407

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抄録
 症例は67歳の男性で,全身倦怠感を主訴として入院した.40歳頃よりなんら誘因なく,よく鼻出血をくり返していた.数年前に貧血を指摘され輸血を受けたこともある.入院時検査で,高度の低色素性貧血をみとめたが,出血凝固系には異常はなかった.胃内視鏡検査で胃体上部小彎から後壁,大彎にかけて多i数のTelangiectasiaをみとめ,かっ軟口蓋と鼻腔粘膜にも同様の所見をみた.子供二人にも胃にTelangiectasiaを見出し,遺伝関係も明らかとなりOsler病と診断した.腹腔鏡検査で肝左葉に限局性のVarix様所見がみられ,撰択的腹腔動脈造影を施行してみたが,肝血管の特別な異常はみられなかった.しかし,左胃動脈の末梢血管の拡張と造影剤のPoolingをみとめ,胃内動静脈瘻の存在を示唆する所見を得た.現在,主たる消化管出血の原因を胃内のTelangiectasiaと考え,YAGレーザーによる止血を試みながら,経過観察中である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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