日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
内視鏡的肝内胆管造影法による肝疾患の診断的評価
清水 道彦
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 22 巻 5 号 p. 599-606

詳細
抄録

内視鏡的逆行性膵胆管造影法(以下ERCPと略)は膵胆道系疾患の診断を飛躍的に進歩させてきた.さらに本法を応用した内視鏡的肝内胆管造影法により肝疾患診断へのアプローチを試みた. 対象症例は手術,生検,剖検で組織学的診断ができ,しかも4次分枝以上の肝内胆管像がえられた肝細胞癌又は胆管細胞癌14例,転移性肝癌14例,肝硬変症15例に限定した. 研究方法はCaerulein(筋注)や体位変換を併用したERCPで肝内胆管造影を行ない,描出された肝内胆管の各分枝の異常所見を検討した. その結果,(1)4次~6次分枝の肝内胆管造影が肝内病変の診断に適当である.(2)肝癌の肝内胆管分枝所見として,閉寒,狭窄,末梢胆管の拡張がみられた.(3)肝硬変症の肝内胆管分枝所見として蛇行,胆管径の不整,圧排,胆管相互の近接,胆管辺縁の硬化がみられた. 内視鏡的肝内胆管造影法によって各種肝疾患を診断することは,ある程度の有効性はみとめたが,現状では大きな限界があると考えたい.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
次の記事
feedback
Top